NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2019年9月24日、データを匿名加工するクラウドサービスを開始した。個人データを匿名加工することによって、企業は、これらのデータを活用できるようになる。匿名加工の要素技術として、NTTテクノクロスの「匿名加工情報作成ソフトウェア」を活用している。
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が今回提供を開始する匿名加工サービスは、データを匿名加工するクラウドサービスである。同社の企業向けクラウドサービス「Enterprise Cloud」上にユーザー企業の機密データを蓄積し、適切に匿名加工情報に加工できる機能を、月額料金モデルで提供する(図1)。
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ユーザーは、Enterprise Cloud上に機密データを蓄積し、これを匿名加工した上で、Microsoft AzureやGoogle Cloud Platform(GCP)などのパブリッククラウドにデータを転送できる。こうして、パブリッククラウドのマシンラーニング(機械学習)機能などを活用し、データを分析できる。
ユースケースを挙げている。医療業界の活用例では、患者一人ひとりの臨床データを匿名加工して分析する。これにより、新薬の開発や新たな治療計画などに役立てることができる。金融業界の活用例では、クレジットカード会社の顧客の属性や購買履歴データを匿名加工して加盟店に提供する。これにより、マーケティングへの活用や新サービスの開発が可能になる。
匿名加工サービスには、NTT研究所独自の「Pk-匿名化」を含む35種類の加工技法を実装している。ユーザーは、データの利用目的に応じて最適な加工技法を選択できる。プログラミングなどの専門処理を行うことなく、簡単にデータを加工できるとしている。
匿名性(加工後データの個人属性などが匿名化されたレベル)や、加工前データと比較した情報量損失レベルなどを相対的に評価し、可視化できる。これにより、匿名加工状況を確認しながら、加工技法を柔軟に選択し直せる。こうして、用途ごとに適した匿名加工情報を生成できる。
なお、匿名加工情報とは、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工し、当該個人情報を復元できないようにした情報のことである。サービス提供の背景として同社は、2017年5月の改正個人情報保護法全面施行にともない、個人情報を匿名加工情報に加工し一定の義務を守ることで、より積極的にデータを利活用することが可能になったことを挙げている。