IDC Japanは2020年1月15日、国内IT市場における地域別の2020年~2023年の市場規模予測を発表した。2020年の国内IT市場は前年比マイナス1.4%と減速する。IT支出は、関東や近畿などの大都市圏で拡大する一方、大都市圏以外の地域ではマイナス成長を含め、低い成長率にとどまる。
IDC Japanによると、2020年の国内IT市場は、前年までのPC更新需要の反動により、支出規模は17兆6861億円、前年比成長率はマイナス1.4%と減速する。この一方で、既存システムの刷新や働き方改革を契機とした新規システム開発が堅調に伸びるという。
2021年以降は、IaaSを始めとするインフラ基盤、ソフトウェア、ビジネスサービスの堅調な伸びと、5G関連の投資によって、国内IT市場全体では緩やかに回復するとIDC Japanは予測する。
地域別では、2019年までのPC更新需要や、消費税増税への対応を目的にした関連システム改修対応の反動により、2020年のIT支出は多くの地域でマイナス成長になるとしている(図1)。
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東京や近畿など大都市圏のIT市場は今後も拡大
ただし、東京都は、2020年7・8月に東京オリンピック/パラリンピックの開催を控えていることに加え、デジタル変革に着手した大企業も多数存在することから、2020年のIT支出もプラス成長を維持する、というのがIDCの見通しだ。
同社によると、2021年には、東京都に加え、大都市圏でIT支出はプラス成長に回復する。特に、2025年に開催を予定する大阪万国博覧会を控えた近畿地方では、2022年以降、IT支出が堅調に拡大する。また、関東地方、東海地方においても、地域の再開発事業の活性化、地場企業の積極的なIT支出などによって、同様にIT支出が拡大するという。
大都市圏以外は低い成長率にとどまる
一方、大都市圏以外の地域では、2021年以降も低い成長率にとどまるという。IDCは、なかでも北海道/東北地方、北陸/甲信越地方、中国/四国地方は、2021年もマイナス成長にとどまると指摘。2022年以降も、ほぼ横ばいから微減で推移するとしている。
これらの地域では、地域を牽引する産業がないことに加え、人口減少に伴う地域経済停滞の影響が深刻である。多くの企業、地方自治体で、IT支出は抑制傾向の長期化が見込まれる。
ただし、これらの地域の中でも、福岡県福岡市のように、地場企業のIT支出が積極的なことに加え、再開発事業が活性化し、地域のIT支出を牽引する例外的なケースもある。
今回の発表は、IDC Japanが発行した『国内IT市場 地域別予測、2020年~2023年』で詳細を報告している。