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富士通研究所、クレカ不正取引をグラフAI技術で検出する実験、検知率は72%から89%に向上

2020年11月24日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

富士通研究所は2020年11月24日、富士通研究所のグラフAI技術「Deep Tensor(ディープ テンソル)」とグラフデータベースを組み合わせ、クレジットカードの決済サービスにおける不正取引を高精度に検出できることを実証したと発表した。グラフデータベース基盤を提供するイタリアのLARUS Business Automation(以下、LARUS)と共同で実証した。

 富士通研究所は、クレジットカードの決済サービスにおける不正取引を高精度に検出できる技術を実証した。取引ごとの明細を格納した表形式データを、データ要素間の関係性を表現したグラフデータに変換して解析した。LARUSが提供するグラフデータベースと、富士通研究所のグラフAI技術であるDeep Tensorを組み合わせて解析した(図1)。

図1:検証システムの構成(出典:富士通研究所)図1:検証システムの構成(出典:富士通研究所)
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 実証には、実際のネットバンクのクレジットカードデータとPOSデータを使用した。人手で作成した不正取引検知ルールと比べて不正取引の検知率や誤検知率がどの程度改善するかを調べた。さらに、不正と判断した理由がデータ分析者から見て妥当かどうかも検証した(図2)。

図2:説明因子を可視化した例(出典:富士通研究所)図2:説明因子を可視化した例(出典:富士通研究所)
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 データ分析者が不正パターンのルールを定義する既存のやり方と比べて、不正取引の検知率を72%から89%に向上できた。誤検知率は63%削減できた。また、グラフAI技術は不正かどうかを判断した要因を提示できることから、不正検知に関するルール作成の支援ができることを確認した。

 なお、グラフデータベース上のデータの解析は、データ構造が複雑であることから解釈が難しく、専門のデータ分析者が現場へのヒアリングを重ねながら、目的とする重要な関係性を抽出していく必要がある。データ分析者でも、この作業には長い時間を要するため、データ解析を自動化できるグラフAI技術による効率化が期待されている。

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富士通研究所 / グラフデータベース / LARUS / Deep Tensor / 説明可能なAI

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