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先駆者に学ぶCPaaSの価値〜「迷うよりも試す」が競争力獲得の近道に

2021年10月12日(火)

多様なコミュニケーション機能をAPIで連携させるなどして、自社要件にジャストフィットするシステムの作り込みを可能とするクラウドサービス「CPaaS(Communications Platform as a Service)」。その代表格であるTwilioは国内でもすでに多数の実績を積んでいる。先駆的なユーザー各社は、何を評価して採用を決断したのか。また、この先はどのような展開を考えているのか。本稿では、WED株式会社、コグラフ株式会社、playground株式会社のキーパーソンに話を伺った。

─皆さまの会社の事業概要と、どんな所でTwilioを活用されているのかを紹介頂きたいと思います。まずはWEDの佐原さんから口火を切って頂けますか。

佐原:WED株式会社は、スマホアプリを介して消費者が撮影したレシート画像を収集し、金銭や各種クーポンなどを還元するレシート買取アプリ「ONE」を手掛けています。買い物が済んだ時点で捨てられることの多いレシートですが、そこに記載された情報をビッグデータとして大量に収集すれば、企業のマーケティング活動などに有益な“価値ある情報”へと昇華させることができます。当社は、そこに軸足を置いて事業を展開しています。

WED株式会社 VP of Ops 佐原 恭平 氏

一人ひとりの購買実績といった個人情報を取り扱いますし、マーケティングデータとしての品質を追求する観点からも、しっかりとした本人確認が必要なことは言うまでもありません。そこで活用しているのがTwilio VerifyのSMS認証の仕組みです。我々がターゲットとしている消費者層のほとんどは携帯電話を所有しており、それが固有IDとして機能するSMS認証であれば信頼性も経済性も優れていますし、先々にサービスが増えることを想定してもスピーディーに対応できると考えました。

─続いて、コグラフさん、宜しくお願いします。

横山:当社の主要サービスの一つ「Mayai(マヤイ)」では、外からかかってくる電話に自動応答する仕組みを提供しています。IVRで24時間、電話対応するのに加え、録音データからその内容をAIがテキストとして書き起こし、録音を聞くためのURLや受電日時、相手の電話番号などとともに利用者のスマホへ通知します。受け取った人は、そこで重要度や優先度を判断し、必要に応じて電話をかけ直すといったことができるわけですね。

コグラフ株式会社 Mayai Business Design Office 室長 横山 美貴 氏

突然かかってくる営業電話などで仕事の手を止めたくないといったニーズや、今般のコロナ禍においてリモートワーク中でもオフィスへの着電に対応したいといったニーズに支えられて、お陰様でユーザー数が着実に伸びています。背後では、一連の機能のうち、電話番号の取得から受電、IVR、音声録音、SMS送信まで、幅広くTwilioを活用しています。

─3社目はplayground(プレイグラウンド)さんです。

伊藤:「夢を与える仕事を、夢の職業に。」をミッションを掲げる当社は、電子チケット発券システム「MOALA Ticket」など、スポーツ・エンタメ業界に特化したSaaSを提供しています。業界の健全な発展のためにはチケットの転売対策が不可欠であり、チケットの本人認証の一つとしてTwilioのSMSサービスを利用しています。チケットページにアクセスする際にSMS認証を行うことで、本人認証を行っています。

playground株式会社 代表取締役 伊藤 圭史 氏

あらためて言うまでもなく、昨今のコロナ禍でエンタメ業界は苦境が続いています。今まさにコロナ後のV字復活が大きなテーマであり、その時には非接触をはじめとしたコロナ対策の必要性も踏まえ、チケットの電子化率もぐっと上がることになるでしょう。その際には老若男女が気兼ねなく使えて、コストパフォーマンスもよい仕組みが不可欠であり、一方では、トラブルを起こさないことも極めて重要です。そんな領域で事業を展開しています。

開発が楽で目的とする機能を速やかに実装できる

─おそらく各社とも、最初からTwilio一択ということではなく、様々なソリューションやサービスを比較検討されたのではないかと推察します。最終的にTwilioを採用した理由はなんだったのでしょう。

佐原:理由は幾つかありますが、一番は開発が非常に楽だったことです。当社の場合、ONEを企画・開発していた当初はエンジニアが数人と極めて限られていました。主軸を担っていたのは一人と言っても過言ではなく、しかも、どちらかというとUIなどフロント寄りを得意としていました。その彼が、アプリの使いやすさには徹底的にこだわりつつ、一方で、認証の部分は負荷を抑えながら効率的に実装したいとなると、やはり開発がいかに楽かが決め手になるのです。

その点、Twilioならコードを数行書くだけで認証機能を実装できますし、Ruby用ライブラリや各種ドキュメントも充実しています。いわゆるCPaaSとしての出来の良さが当社のニーズにとてもマッチしていたという訳です。思い起こせば、まだTwilioさんの日本法人が無かった頃のことでした。APAC地域の担当者がわざわざ弊社オフィスを訪ねてくれて、熱心に説明してくれたんですよ。そのフットワークの良さや、自社プロダクトに自信や誇りを持っている点も好印象でした。

:先ほど、佐原さんからお話のあった「開発のしやすさ」は私も同じように優れていると感じました。何かやりたいことがあればAPIをあれこれ突っついてみればいい──そんな感覚ですよ。使ってみると勝手が良くて、以来、ずっと使い続けているというのが紛れもない事実です。もちろん、サービス全体としての信頼性が高いことなども含めて“使いやすさ”や“開発のしやすさ”を実現しているんでしょうね。

コグラフ株式会社 代表取締役 森 善隆 氏

元々エンジニアだった私が最初にTwilioを知ったのは、随分と前のことです。率直に面白いと感じて機会があれば使ってみたいなぁと思ったものの、すぐにとはいきませんでした。その後、受託開発も含めて、チャットボットの研究開発やスマートスピーカーの応用などに携わるうちに「声によるコミュニケーション」の潜在価値にあらためて気づいたのです。例えば電話というデバイスを使ったコミュニケーションを取り上げると、“一周回って新しい!”と。

電話というデバイスは「一周回って新しい」

そうこうして「Mayai」へと実を結ぶことになりました。Twilioに出会った時からは、トレンドの変化があり、テクノロジーの変化があり、やっとお世話になるタイミングが来たんだと思い返すと、感慨深いですね。アイデアがあっても、システムを一から作るとなれば時間もコストもかかって動きが鈍くなります。ここでTwilioを使えば、APIで多様なコミュニケーション機能を簡単に連携・実装できるのでアジリティを体現できます。それが何よりの魅力です。

─電話は一周回って新しいというのは興味深い観点ですね。

伊藤:その技術が最新のものかとうかに目を奪われるのではなく、目的をどれだけ満足させられるかという本質を考えるのが大事ということにもつながる観点ですよね。我々のビジネスで言うと、チケットの電子化を進めていくと常に不正転売を防ぐための本人認証というテーマがついて回ります。テクノロジー的には生体認証なんかが新しさを感じさせたりもしますが、実際にやるとなると負荷が高いし、必ずしもお客さんが付いてくる興行ばかりではないでしょう。

一方で「身分証明書持ってきてください」というプリミティブな方法は、入場を滞らせる原因となり、保険証レンタルなどの闇取引も助長しかねません。本人認証として、誰もが使えて一定以上の不正抑止効果を持つ。そう考えていくとSMS認証はバランスがいい選択肢なんですね。まさに電話って一周回って新しいという観点にも重なってきます。

SMSの未達をゼロに近づける信頼性と安定性

─SMS認証サービスにも幾つもの選択肢があると思いますが、何がTwilio採用の決め手だったのでしょう。

伊藤:メッセージを確実に相手に届けられる高い信頼性と安定性にあります。イベントって時間枠がきっちり決まっていますから、もしメッセージの未達や遅延なんかが起こると購入者からのクレームの嵐となるのは必至です。大規模なトラブルでイベント開始が遅れようものなら興行主は進行の変更を余儀なくされ、最悪の場合は損害賠償にも発展しかねません。

ですから大量配信に耐えられて、遅延なく確実にSMSを届けられるという信頼性と安定性こそが肝であり、当社にとっての生命線なんです。“SMS送信に対応しています”という程度のサービスでは当社では採用できません。これまでどんな実績があるのかといった深い比較をすると、Twilio以外に選択肢は見当たらなかったというのが正直なところです。

横山:当社が手掛けている電話対応にしても、いわば生活のインフラですから信頼性や安定性はやはり重視しますね。世界中の様々なユースケースにおいて豊富な実績を積んでいるTwilioさんは安心感があります。

現場のエンジニアの高い満足度

─3社ともに評価を重ねてTwilio導入に至ったわけですが、実際に使ってみて思惑と違ったところなどはありましたか。

佐原:不満は一切ありません。サービスリリース時に数十万ダウンロードと想定以上の利用者を集め、気がついたら従量課金のコストが膨れ上がっていて面食らったことはありましたが、それも元はと言えば当社の理解不足からでした(笑)。たまに安さを売りにした他のサービスの営業もありますが、品質や導入のしやすさからは、結局、Twilioが一番との結論に落ち着きます。

横山:当社でもトラブルは一切発生しておらず、品質には十分満足しています。特に安定性は抜群ですね。「Mayaiのビジョンとして“電話の再発明”を謳っている割には、安定していないよね」とは絶対に言われたくない私どもにとって本当にありがたい限りです。

また、これは当社の特殊事情かもしれませんが、海外国籍のエンジニアが多いので、英語での情報提供やサポートがあるのも見逃せません。当社のエンジニアが投げ掛けた込み入った質問に対して、Twilio本社サイドの開発現場の第一線から直接返答を頂くこともしばしばで助かっています。もちろん、日本法人と良い関係を築けており、私どもが新サービスを検討している時にアイデアを頂いたり人や企業を紹介いただいたりできることも大変助かっています。

インフラ部分は任せアプリ開発に集中できる

:元々は技術者である私からすると、Twilioでは開発基盤を“隠蔽化”できるメリットも見逃せません。システムやアプリケーションの安定稼働というテーマを深掘りすれば物理サーバーやネットワークの話になりますが、それらの一切をTwilio側に任せられ、我々はその上のアプリ開発のみに専念できます。しかも、機能をどう組み合わせるかといったAPIまわりの部分に集中できるので、開発スピードを確実に底上げすることができ、変化への対応もそれだけ柔軟かつ迅速なものになります。

現にMayaiでも顧客の声に耳を傾けながら、一方では本当に必要なものを厳選しながら機能の強化や拡充を現在進行形で進めており、そこでの工数的な苦労はほとんどありません。ここはCPaaSの面目躍如といったところでしょう。

伊藤:Twilioの扱いやすさや安定性は、当社のエンジニアからも大変好評です。実は過去に、Twilioを使っていてもSMSが1%程度とわずかではあったのですが未達になり、お客様からのクレームにつながってしまったというトラブルがありました。相談した結果、高品質型という契約プランを推奨され、以来、安定稼働できるようになりました。

実は10年ほど前、Twilioが日本市場に参入されるにあたって客観的な調査を任されたことがありました。自分なりにあれこれと調べ上げて、コミュニケーション系の開発基盤として有望であるとのレポートをまとめたのですが、立場がユーザーに変わった今、当時の私の目に狂いはなかったことをあらためて実感しているところです。

事業の成長と共にTwilioの活用領域も増える

─今後の展望として、Twilioの活用やビジネスそのものをどのように成熟させていきますか。

佐原:幸いなことにONEはMAU(Monthly Active Users:月間アクティブユーザー)を順調に伸ばし、売り上げ増のフェーズに差し掛かりつつあります。当社としてはこの勢いを加速させるべく、買い物を楽しんでもらうための多様な活動の強化を計画中で、それらの認証基盤としてTwilioには引き続きお世話になります。

一方で、当社は四半期に一度のスパンでONEの新機能や別ブランドとして新サービスをリリースしています。実はそれらの開発でも短期間に検証と改善を繰り返せるよう、TwilioのProgramable SMSなどをすでに利用しており、その意味でTwilioは当社の事業に不可欠な存在であり続けるはずです。

横山:当社も同じく、Twilio活用を今後も継続する点で変わりはありません。温めているアイデアはいくつかあり、ユーザーから要望の多いコールバック機能のMayaiへの追加のほか、電話の再発明につながる“楽しさ”をいかにサービスに付加できるかが当社にとって勝負になりそうです。クラウド時代にふさわしいスピード感をもって検証を繰り返しながら次の柱を築いていきたいですね。その観点でも、CPaaSとしてのTwilioのメリットを生かしていきたいと思います。

本人確認のデジタル化でSMSにさらなる脚光

伊藤:先にも触れた通り、エンタメ業界はコロナからのV字回復が大きなテーマです。終息がまだ見えない今の市場規模は平常時の2割にとどまっていると言われており、裏を返せばアフターコロナにおいては残り8割、いや、市場全体が伸びればそれ以上において、電子チケットの取り扱いが急増する可能性があるわけです。

この1年あまり、国内の様々な局面でのデジタル化が一気に進んだと言われます。eKYC(electronic Know Your Customer:電子的な本人確認)への関心も高まり、それはエンタメ業界も例外ではありません。本人であることを素早く精緻に確認し、デジタルでの健全なリレーションを築いていくという文脈においてSMSへの期待は大きい。当社にとっては、先々を見据えて、それほどまでの大量のSMSをハンドリングするのに耐えられる体制を整えることの重要性は非常に高いです。

そうした取り組みを進める上で忘れてならないのが「バランス感覚」。利用者にとっての使い勝手、投資に見合うだけの効果、確実性や安定性…それらに照らしてみると、まだまだTwilioの利用が拡大するはずです。

まずは試してみるのがクラウド時代の王道

─最後に、Twilio活用に積極的に取り組んできた企業の代表として、これから検討する企業にアドバイスをお願いいます。

佐原:これはTwilioに限らずクラウドサービス全般に当てはまることかもしれませんが、「迷っているぐらいなら、さっさと試した方が事が速く運ぶし正しい答えを導き出せる」ということです。我々の経験からも、Twilioはそれくらい実装が簡単だし、やってみれば分かることがたくさんあります。机上論で浪費する時間が実にもったいないことに気づいてほしいですね。

:グローバルで豊富な採用実績を誇るだけに安心して利用できることもポイントですし、佐原さんが仰るように、試してみれば、その良さがすぐに理解できるのではないでしょうか。ドキュメントが充実しているので、現場のエンジニアの方々も馴染みがよいと思います。また、ユーザーが多いだけにWebで検索すれば様々なナレッジを見つけられることも心強いですね。競争力の源泉は企業としてのスピード感であり、何を自分たちで開発するか、何を既存サービスで補うかのメリハリを効かせることが、ますます大切になります。

伊藤:皆さんと同意見です。加えるならば、クラウドの世界では各分野でリーダー的存在のサービスを選んでおけばまず間違いありません。利用者が多いほど多くの要望が寄せられて機能が磨かれていきますし、勝者だけが許される継続的な投資によって安定性などの品質も向上し、一方では価格も安くなるという好循環が生まれます。

今の時代にふさわしいクイックな動きをするなら、まずはメジャーなものを使ってみて、それで満足できなければエッジの効いたもっとマニアックなものを使ってみる。それがクラウドサービス導入時の王道だと思います。つまり、顧客とのコミュニケーションをもっと豊かで濃密なものにしていこう、テックトレンドに照らしながら合理的な道をたどっていこう──そう考えるならば最初にTwilioを選んで後悔はしないということです。

─本日はお忙しい中、貴重なご意見、ありがとうございました。


●お問い合わせ先

Twilio Japan合同会社

Web https://www.twilio.com/ja/
メール info_japan@twilio.com

先駆者に学ぶCPaaSの価値〜「迷うよりも試す」が競争力獲得の近道に多様なコミュニケーション機能をAPIで連携させるなどして、自社要件にジャストフィットするシステムの作り込みを可能とするクラウドサービス「CPaaS(Communications Platform as a Service)」。その代表格であるTwilioは国内でもすでに多数の実績を積んでいる。先駆的なユーザー各社は、何を評価して採用を決断したのか。また、この先はどのような展開を考えているのか。本稿では、WED株式会社、コグラフ株式会社、playground株式会社のキーパーソンに話を伺った。

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