クラスメソッドは2021年11月25日、AWS(Amazon Web Services)の利用状況を調査・分析した結果を発表した。2021年上半期のサービス分野別利用額ランキングは、1位がコンピューティング、2位がデータベース、3位がネットワーキングとコンテンツ配信だった。利用費の推移では、特にコンテナ利用の急伸やコロナ禍でのVDI需要が目立っている。同社のAWS総合支援サービス「クラスメソッドメンバーズ」登録アカウントへの請求情報に基づき、2016年1月1日~2021年6月30日の約5年間にわたるAWS利用状況を調査・分析の対象としている。
クラスメソッドは、企業によるAWS(Amazon Web Services)の利用状況を分析したデータを公表した。同社のAWS総合支援サービス「クラスメソッドメンバーズ」登録アカウントへの請求情報に基づき、2016年1月1日~2021年6月30日の約5年間にわたるAWS利用状況を調査・分析の対象としている。
以下、同社が発表した、(1)2021年上半期のサービスカテゴリ別AWS利用額ランキング、(2)サービスカテゴリ別AWS利用額の5年推移、(3)業種別AWS利用サービス比較について紹介する。
2021年上半期のサービスカテゴリ別AWS利用額ランキング
AWSが提供している全26サービスカテゴリ別の利用費を調査している。ランキング上位15件は、1位が「コンピューティング」、2位が「データベース」、3位が「ネットワーキングとコンテンツ配信」、4位が「ストレージ」、5位が「分析」、6位が「エンドユーザーコンピューティング」(VDI/DaaS関連)だった(表1)。
順位 | サービスカテゴリ | 概要・主要サービス |
---|---|---|
1 | コンピューティング | 仮想サーバーであるAmazon EC2など、AWS上でのアプリケーション実行に関わるサービス群 |
2 | データベース | Amazon RDSやAmazon DynamoDBなどのデータベース関連サービス群 |
3 | ネットワーキングとコンテンツ配信 | Amazon CloudfrontやAmazon VPCなどのセキュアなネットワーク機能とコンテンツ配信に関わるサービス群 |
4 | ストレージ | Amazon S3、Amazon EBS、Amazon EFSなどのストレージサービス群 |
5 | 分析 | Amazon RedshiftやAmazon Athena、Amazon Kinesisなどの、データウェアハウスと分析ツール群 |
6 | エンドユーザーコンピューティング | Amazon WorkSpacesやAmazon WorkDocsなど、VDI/DaaS関連サービス群 |
7 | 管理とガバナンス | Amazon CloudWatchやAWS CloudTrailなど、リソース管理に関わるサービス群 |
8 | コンテナ | Amazon ECSや、AWS Fargateなど、コンテナの作成と運用管理に関わるサービス群 |
9 | セキュリティ、ID、およびコンプライアンス | AWS WAFやAWS IAM、AWS Security Hubなどの、認証やセキュリティ対策サービス群 |
10 | 移行と転送 | CloudEndure MigrationやAWS Migration Hubなど、オンプレミスなどからAWSにアプリケーションやデータを移行するためのサービス群 |
11 | カスタマーエンゲージメント | Amazon Connect、Amazon SESなど、クラウドベースのコンタクトセンター構築運営関連サービス群 |
12 | Machine Learning | Amazon SageMaker、Amazon Rekognitionなど、機械学習のモデル作成と分析関連サービス群 |
13 | メディアサービス | AWS Elemental MediaConvert、AWS Elemental MediaLiveなど、動画の処理と配信サービス群 |
14 | アプリケーション統合 | AWS Step Functions、Amazon SQSなどの、疎結合されたアプリケーション間のコミュニケーションを可能とするサービス群 |
15 | 開発者用ツール | AWS CodePipelineやAWS CodeStarなど、アプリケーション開発やテスト、リリースに関連したサービス群 |
●Next:5年間でコンテナ利用が急伸、コロナ禍ではテレワーク需要
サービスカテゴリ別AWS利用額の5年推移
利用費ランキング上位のサービスカテゴリについて利用額の約5年間の推移を、2016年第1四半期(2016年1月~3月)の利用額を1とする成長率グラフにしている(図1)。いずれのサービスも増加傾向にあるが、特に変化が目立つのはコンテナの急伸である。
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また、2020年第1四半期からはエンドユーザーコンピューティングが、2020年第2四半期からはネットワーキングとコンテンツ配信が増加している。「これらが増えた背景として、新型コロナウイルス感染症によるテレワーク(リモートワーク、在宅勤務)の広がりがある」(クラスメソッド)という。
「2020年はコロナ禍でテレワーク需要が高まり、VDI/DaaSの「Amazon WorkSpaces」に注目が集まった。1回目の緊急事態宣言時には、導入スピード優先の導入支援の依頼を数多く受けた。2021年になって構築ニーズはいったん落ち着いたが、2020年に構築した環境については利用が継続している」(同社)
同社によると、画像や動画などのコンテンツ配信ニーズについては、2020年はコロナ禍を受けた“巣ごもり消費”により、特に「Amazon CloudFront」や「Amazon Virtual Private Cloud」(VPC)などの利用が伸びたという。「2020年は『動画配信を始めたい』という問い合わせが増え、動画配信に関する事例記事の検索・閲覧も増えていた」(同社)。
業種別AWS利用サービス比較
図2は、業種ごとの利用状況の比較である。「2020年は、エンドユーザーコンピューティングの利用比率に、業種ごとのテレワークの導入しやすさが表れた。また、金融業や外食・中食業においては、他業界よりも分析の活用が進んでいる」(同社)。
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