神戸大学は2022年1月21日、神戸市民の健康・医療情報から要介護リスクをAIで解析する研究を行うと発表した。日立製作所の「説明可能なAI」を活用し、神戸市民38万人の健康・医療ビッグデータから住民一人ひとりに対する要介護リスクを予測するモデルを開発する。神戸市民の健康・医療情報は、神戸市が構築した「ヘルスケアデータ連携システム」(医療・介護・健診データを個人ごとにまとめたシステム)から取得する。
神戸大学は、神戸市民の健康・医療情報から要介護リスクをAIで解析する研究を行う(図1)。解析対象の健康・医療データは、65才以上の神戸市民38万人の、医療情報、介護情報、健診情報などを連結した継時的データセット(約3000項目/人)である。これをAIの学習データとして用い、一人ひとりに対する要介護リスクを予測するモデルを開発する。
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要介護リスクの個別予測モデルは、日立製作所の「説明可能なAI」を活用して開発する(関連記事:日立が「説明可能なAI」を強化、内容が複雑なブラックボックス型のAIを、単純な予測式に変換)。説明可能なAI技術を適用することで、精度の高い予測モデルの作成が期待できるほか、要介護のリスク要因の解析根拠を把握できるとしている。
同AI技術の特徴は、予測精度の高さと根拠の説明性を両立できることである。これまでディープラーニング(深層学習)において困難だった「予測に寄与する要因の抽出」を行えるほか、予測要因を生成した根拠データまで遡ることが可能だとしている。
解析対象の健康・医療データとして、神戸市が構築した「ヘルスケアデータ連携システム」(医療・介護レセプトデータ、健診データ、予防接種データなどを個人単位で連結したシステム)を活用する。神戸市は、2015~2019年度までの過去5年間のデータセットを神戸大学に提供済みであり、最終的に2024年度まで計10年間のデータセットを提供する。