NECは2022年2月10日、地上で撮影した画像の場所を、衛星画像・航空写真と照合して推定する技術を開発したと発表した。ランドマークとなる建築物が写っていなくても撮影場所を見つけられる。公開データセット(CVACT)による評価において照合精度85.6%を確認したとしている。NECは今後、同技術を自然災害の被害を受けた場所や範囲の推定に活用し、救助活動の迅速化を目指す。
NECは、地上で撮影した画像の場所を、衛星画像・航空写真と照合して推定する技術を開発した(図1)。ランドマークとなる建築物が写っていなくても、撮影場所を見つけられる。公開データセット(CVACT)による評価において、照合精度85.6%を確認したとしている。
![図1:地上で撮影した画像の場所を、衛星画像・航空写真と照合して推定する(出典:NEC)](/mwimgs/a/d/600/img_ad61437f71f23653e1176e3679d53500170022.png)
要素技術として、地上で撮影した横からの景観画像と、人工衛星や航空機から撮影した上からの景観画像の特徴量の対応付けを学習する手法を開発した(図2)。これにより、視覚的な見え方が大きく異なる画像を高精度に照合するとしている。
![図2:横からの景観画像と上からの景観画像の対応付けを学習する手法を開発した(出典:NEC)](/mwimgs/9/8/500/img_9803f891298e871422e3caf13a36ccce62568.png)
従来の技術では、ランドマークとなる建築物が写った位置情報付きの画像と照合するという手法によって場所を推定していた。しかし、この手法では限られた場所以外での推定が難しいという課題があった。今回開発した技術は、衛星画像・航空写真と照合することで、街中の広い範囲の場所を推定可能である。
撮影時期の違いによる景観の変化にも対応する。時間の経過によって移動・変化する被写体を景観から削除した画像を大量に自動生成して学習する仕組み。車の移動、建物の取り壊し、樹木の伐採などによって景観が変化していても、画像の場所を推定できる。