東大発AIベンチャーのDeep Consultingは2022年10月31日、少量の正常データセットから異常を検知可能なアルゴリズムの実用化に向けた研究を開始したと発表した。異常データが頻繁には発生しないような現場においても異常の検知が可能になる。同技術の研究とユーザーへの提供を通じて、従来は熟練した作業者が時間をかけて検品する必要があった工程を自動化・効率化するとしている。
東大発のAIベンチャー/AIコンサルティング会社のDeep Consultingは、少量の正常データセットから時系列データの異常を検知可能なアルゴリズムの実用化に向けた研究を開始した。異常データが頻繁には発生しないような現場においても、異常を検知可能になるとしている。少量の正常データだけで済むため、従来手法と比べてシステム構築期間を短縮可能である。
従来、ディープラーニング(深層学習)を用いた通常の異常検知システム構築においては、学習データとして正常データと異常データが大量に必要だった。これに対して今回同社が開発したアルゴリズムの場合、汎用的な特徴量を用いることにより、異常データを学習することなく、かつ正常データも少量の学習で済むとしている。
想定する主な用途として同社は、自動車メーカーの生産ラインにおける電動機の故障検知、家電メーカーの生産ラインにおける設備の故障検知、電力会社の風車・太陽光パネルなどにおける発電機の故障検知、などを挙げる。さらに、これらに限らず、時系列データを用いた異常検知であれば同アルゴリズムを活用可能としている。
開発に至った経緯についてDeep Consultingは次のように説明している。「製造業において検品工程が重要である一方で、学習データの収集が行えないことから、ディープラーニングによる異常検知モデルの構築が難しい。正常/異常データの両方が一定以上ない場合、理想とする異常検出の精度が出ない。特に、異常が発生する頻度が極めて低い場合は、正常データは集まっているが異常データが不足しているためにモデル構築ができないといった事例が多くあった」。