富士通は2023年1月5日、歩行速度に関わらず多くの人の移動を正確に捉えるトラッキング技術を開発したと発表した。従来技術の場合、人が高速に移動すると、連続して撮影したフレーム同士の間で重なり合う領域が存在しなくなるため、同一人物であるという対応付けができない。新技術は、対象領域を拡大して重なり合う領域を作り出し、この問題を解消した。公開データセットを用いた検証では、従来技術と比べてトラッキング精度が17％向上した。今後、工場での作業行動認識や店舗内での顧客移動特性の分析など、同社のAI製品・サービスへの適用を検討する。
富士通は、歩行速度に関わらず多くの人の移動を正確に捉えるトラッキング技術を開発した。従来の技術だと、人が高速に移動すると連続して撮影したフレーム同士の間で重なり合う領域が存在しなくなるため、同一人物であるという対応付けができない。新技術は、対象領域を拡大して重なり合う領域を作り出し、この問題を解消した（図1）。
図1：開発したトラッキング技術の概要（出典：富士通）拡大画像表示
公開データセットを用いた検証では、従来技術と比べてトラッキング精度が17％向上した。また、画像認識分野の国際学会「ECCV2022（European Conference on Computer Vision 2022）」で開催したトラッキングコンペティション「DanceTrack Challenge」で、参加19チーム中2位の精度を達成した。
同技術を使うと、ショッピングモールや公共施設などにおいて、高精度な追跡が可能になる。長時間にわたる顧客の動線解析や見守りなどに活用可能である。また、画像の特徴量に依存しない技術であるため、少ない計算リソースで動かせる。さらに、顔や服装などの個人を特定する情報を用いないことから、プライバシーに配慮した処理が可能である（図2）。
図2：開発したトラッキング技術の結果（出典：富士通）拡大画像表示
富士通は、映像から人の行動を認識する行動認識AI「行動分析技術Actlyzer」を提供している。イベント会場や公共施設、店舗などへの社会実装が進んでいるという。こうした中、混雑したショッピングセンターでの顧客の動線解析など、より高度な利用シーンでの需要が高まっているという。
こうした背景を受けて新技術を開発した。今後、工場での作業行動認識や店舗内での顧客移動特性の分析など、同社のAI製品・サービスへの適用を検討する。
