デロイト トーマツ コンサルティングは2023年7月6日、AIの具体的なユースケースごとにコンサルティングサービスを提供すると発表した。マーケティング＆セールスやリスクモニタリングなど7つの分野の適用ケースについて50件以上のユースケースをWebサイトで示すと共に、ユースケースに合わせたAIの適用をワンストップで支援する。
デロイト トーマツ コンサルティングは、AIの具体的なユースケースを起点にAIの適用を支援するコンサルティングサービスを用意した。「マーケティング＆セールス」や「リスクモニタリング」など7分野の適用ケースについて、50件以上のユースケースをWebサイトで示すと共に、それぞれのユースケースに合わせたAIの適用をワンストップで提供する。
「AIを活用して事業や業務の価値を創出するには、ビジネスと技術を結び付ける方策が必要。実際、当社の『グローバルAI 活用企業動向調査 第5版』においても、AIの取り組みを企業が拡大する際の課題として、ビジネス価値の証明（40%）、AI開発とビジネスの課題・ニーズの整合（42%）が挙げられている」（同社）
それぞれのユースケースを起点に、データ収集・分析基盤の整備、AIアプリケーション基盤の導入・運用までの全工程を設計し、ワンストップでサービスを提供する。その際、データの秘匿性やアルゴリズムの公正性といった、AIの導入に伴うリスクや懸念を評価・検討したうえで、安全で責任あるAI活用の支援も実施する。以下に示す7つの分野で、50件以上のユースケースを設定している。
- マーケティング&セールス
- オートメーション
- R&D・イノベーション
- エッジコンピューティング
- リスクモニタリング
- プラットフォーム
- 従業員エンゲージメント
表1は、具体的なユースケースの例である。
| AIのユースケース | 概要 |
|---|---|
| 小売需要予測 | POSなどの店舗売上データや交通量、天気などのデータを活用することで、季節性や外部の影響を考慮し、店舗の一日の来店者数や来店時間の偏り、売れ筋商品を予測する |
| 飲食店のダイナミックプライシング | 店舗の来客データや食品在庫データをもとに、余剰がある商品を割引価格で提案・提供する仕組みを整える。これにより、売上の向上を図るとともに、効率的に食品在庫を消費することによる食品ロスを削減する |
| 生産スケジュールの最適化 | 機械の稼働状況をリアルタイムに計測し、非効率な工程を識別・改善する。これまでよりも効率性に長けた生産スケジュールを組む |
| ビジネスプロセス改善による在庫コスト削減 | 商品の需要予測から発注・生産・販売のプロセス全体のスケジュール調整をAIで行う。仕掛品の中間在庫を削減したり、予測と実績の乖離を縮小させるようにAIの学習を進めることで安全在庫を削減したりする。在庫管理コストを削減する |
| 機器の異常検知 | 産業機械やIoTセンサー機器が生成する大量のリアルタイムデータを転送し、迅速に分析する。危険物の漏出や誤動作に関する警告を発信し、事故の防止や生産性の向上につなげる |
| 臨床試験データ管理の自動化 | データ構造を標準化し、臨床データの収集から臨床試験に関するレポートなど各種成果物の作成までのライフサイクルをAIを用いて自動化・高速化する。新薬上市までの期間を短縮する |
| 診療予約の自動化 | 自然言語処理や音声認識技術を活用し、医療施設経営において大きなコストとなる電話での対人予約を自動化する |
| 接客スキル向上 | 顧客への接客や商談などのシーンを仮想空間上に再現し、AIとの相互のやり取りを通じて対面に近い接客や商談の流れをシミュレーションする。従業員の接客スキルを向上させる |
| キャリアサポート | 社員の志向や配属履歴、評価データを類似の先輩社員と照らして、今後の配属先や身に付けるべき経験・スキルなどをAIで明らかにする。キャリア形成をサポートし、従業員のエンゲージメントを高める |
| 人事異動時の人材配置 | AIを用いて各組織・ポジションとのスキルマッチやメンバーとの相性を分析し、配属やプロジェクトにおけるチーム組成にあたっての最適配置案を検討する。より高いパフォーマンスの発揮が期待できる人事異動を検討する |
