[事例ニュース]

KDDI、地域網内ネットワークの機器を減らして電力使用量を4割削減

光/電気信号変換装置をルーターに内蔵

2023年10月31日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

KDDI、シスコシステムズ、富士通は2023年10月31日、KDDIの光伝送を採用した地域網内ネットワークにおいて、電気信号と光信号を変換する装置をルーター機器に内蔵することにより、外付け装置を使った従来構成と比べて電力使用量を約40%削減したと発表した。同年10月1日から本運用を開始している。ルーター機器はシスコシステムズの「NCS5500」を、光伝送装置は富士通の「1FINITY」シリーズを採用している。

 KDDIは、光伝送を採用した地域網内ネットワークにおいて、電気信号と光信号を変換する装置をルーター機器に内蔵することにより、外付け装置を使った従来構成と比べて電力使用量を約40%削減した。

 KDDI、シスコシステムズ、富士通の3社が共同で取り組んだ。ルーター機器はシスコシステムズの「NCS5500」を、光伝送装置は富士通の「1FINITY」シリーズを採用している。

図1:地域網内ネットワークにおける新旧システム構成。電気信号と光信号を変換する装置をルーター機器に内蔵することにより、外付け装置を使った従来構成と比べて電力使用量を約40%削減した(出典:KDDI)
拡大画像表示

 図1は、新旧の構成図である。従来の構成では、WDM(波長分割多重)装置とEthernet接続ルーター機器の間に、WDM用トランスポンダを外付けの機器として設置していた。稼働する機器が多いことから消費電力がかさんでいた。

 新たな構成では、WDM用トランスポンダを小型化し、光モジュールとしてシスコ製ルーターに実装している。この光モジュール自体も半導体製造プロセスの改良によって低消費電力化を図っているという。稼働する機器が減ったことで、電力使用量が約40%削減する。

 また、従来の構成と比べて容量の拡張が容易であることを挙げている。光伝送装置として採用した富士通の1FINITYシリーズは、オープンインタフェースにより他社製品を含む各種機器と接続できる。ルーター側のハードウェアの増設や設定変更のみで容量を拡張し、将来の通信トラフィックの増大にも迅速に対応できるようにしている(図2)。

図2:1FINITYシリーズの概念図(出典:富士通)
拡大画像表示

 KDDIは、2021年から一部エリアの地域網内ネットワークに新構成のシステムを導入した。今回、安定運用が確認できたことから、5G、auひかり、法人VPNなど複数のサービスを収容して本運用を開始した。2028年度末までに新構成の地域網内ネットワークを全国に展開する計画である。

 「5Gの普及と通信量の増大によって電力使用量が増大している。KDDIは2030年度までに当社単体の事業活動におけるCO2排出実質ゼロを目指しており、事業活動における電力使用量の低減が求められている。さらに、通信量の増大に対応するために、設備を迅速に拡張することが喫緊の課題である」(KDDI)

関連キーワード

KDDI / Cisco Systems / 富士通 / ESG / 環境経営 / 協業・提携 / 通信事業者 / スイッチ/ルーター

関連記事

トピックス

[Sponsored]

KDDI、地域網内ネットワークの機器を減らして電力使用量を4割削減KDDI、シスコシステムズ、富士通は2023年10月31日、KDDIの光伝送を採用した地域網内ネットワークにおいて、電気信号と光信号を変換する装置をルーター機器に内蔵することにより、外付け装置を使った従来構成と比べて電力使用量を約40%削減したと発表した。同年10月1日から本運用を開始している。ルーター機器はシスコシステムズの「NCS5500」を、光伝送装置は富士通の「1FINITY」シリーズを採用している。

PAGE TOP