[市場動向]

富士通、ナレッジグラフとLLMを融合する技術の開発に着手、業務活用における生成AIの信頼性問題を克服へ

2024年度中の業務活用の実現を目指す

2024年5月20日(月)IT Leaders編集部

富士通は2024年5月17日、専門的な業務における生成AIの信頼性を高めることを狙い、ナレッジグラフと大規模言語モデル(LLM)を融合する新技術の開発に着手すると発表した。2024年度中の業務活用の実現を目指す。最終的に、人間が理解しやすい形式で根拠を説明しながら、業務知識に従って論理推論を進めるLLMを実現する。

 富士通は、同社が取り組む、論理推論を可能とする大規模言語モデル(LLM)の研究開発が、経済産業省が推進する生成AIの開発力強化プロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」の下、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発(助成)」に採択されたことを発表。本格的な研究開発に着手する。

 「生成AIを業務に活用するにあたっては、業務特化型のLLMを用意するだけでは不十分である。自然言語処理に特化した現行のLLMでは、知識不足の事柄に対してハルシネーション(もっともらしい誤り)が発生してしまう。また、LLMが内部パラメータとして保有している知識を把握する手段も持たず、信頼性が求められる業務へのLLM導入が進まないことが課題である」(富士通)

 こうした課題に対して富士通は、知識処理技術の1つである「ナレッジグラフ」とLLMを融合する新技術の開発に取り組む。「LLMに回答させる時に、必要な業務知識を自然言語ではなくナレッジグラフの形式でLLMに追加入力すると、より業務知識に従って回答させられる」ことに着目したという。2024年度中の業務活用の実現を目指す。

 新技術は、2023年9月に富士通が発表した幻覚検出技術を強化するものである。最終的に、人間が理解しやすい形式で根拠を説明しながら、業務知識に従って論理推論を進めるLLMの実現を目指す。「不法行為の判定、会計監査、医療分野での症状検索など、これまでLLMを適用しにくかった業務に対してもLLMの適用が進むことが期待される」(富士通、関連記事富士通、生成AIの回答誤りを検出する技術を開発、フィッシングURLも指摘)。

ナレッジグラフの生成と推論で特化型LLMを開発

 今回の取り組みでは、「自然言語文書をナレッジグラフに変換して形式知にするLLM」(ナレッジグラフ生成LLM)と、「与えられた質問に対してナレッジグラフ上で関連情報を探索し、論理的に集約し回答するLLM」(ナレッジグラフ推論LLM)の2つの特化型LLMを開発する。

 まずは、2つの特化型LLMに共通的な、事前学習済みLLMを開発する。自然言語文書とナレッジグラフとの対訳コーパスを事前学習データに追加することで、自然言語文書とナレッジグラフの双方を同等に扱う能力をLLMに獲得させる。このうえで、一方にはナレッジグラフ生成向けの指示学習、もう一方にはナレッジグラフ推論向けの指示学習をそれぞれ実施する。

 今後は、開発したLLM、ナレッジグラフ生成や推論タスクの評価スクリプト、その他開発中に得た知見やノウハウなどを、GitHubやHugging Face、富士通の技術ブログなどで順次公開する。また、富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」に実装する。

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富士通 / 生成AI / R&D / NEDO / 大規模言語モデル

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