[事例ニュース]

日本原燃、再処理工場の設備点検・記録をiPadとローコード開発でシステム化

ローコード開発ツールに「Claris FileMaker」を採用

2024年7月9日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

原子燃料サイクル事業会社の日本原燃(本社:青森県上北郡六ヶ所村)は、設備の巡視点検などの各種業務を、iPadとローコード開発ツールを用いてシステム化した。ローコード開発ツールに米Claris Internationalの「Claris FileMaker」を採用した。Claris Internationalが2024年7月9日に発表した。

 原子燃料サイクル事業を営む日本原燃の再処理工場では、設備の巡視点検を1日3回実施している。点検時間は1回で約2時間、点検項目は数十万に及ぶ。

 点検内容は紙に記録し、1チームが1回の点検で使用する紙は100枚以上に上り、現場に持ち込んだ紙は放射性物質が付着していないか1枚ずつ検査する必要があった。また、記録した紙は書庫に保管したままで、データを有効に活用できていなかったという。

 そこで、iPadと米Claris Internationalのローコード開発ツール「Claris FileMaker」を導入し、点検記録をシステム化した。導入効果として、1日3回実施の設備点検をiPadとFileMakerで行えるようになり、作業効率が向上したのに加え、点検データが蓄積・分析可能になった。点検のペーパーレス化により、紙に放射性物質が付着有無を検査する作業もなくなり、その管理リスクを減らすことができた。

 合わせて、iPadで異常時の状態を撮影・録音して共有することで、現場で経験値の差によらず、だれもが状態の変化に気づける仕組みを構築。通常値逸脱時のアラート機能や、以前の点検時との違いを可視化する機能が備わっている。異音などベテラン社員でないと気付けない情報を付加して若手社員に共有するなど、教育にも役立てているという。

 システム面での特徴として、ネットワーク環境がない堅牢な建物内でも利用できるようにしている。日本原燃によると、再処理工場施設では、安全確保のためコンクリート壁厚約1mあり、電波が遮断される。そこで、iPadにインストールした「FileMaker Go」アプリに点検データを保存し、後でネットワークに接続した際に、FileMaker Serverにデータを転送して共有する仕組みを構築している。

 日本原燃は、点検記録に加えて、脱硝施設の運転管理システムも内製開発している。メンテナンス作業での一連の業務管理を行う作業・隔離管理システム、ガラス固化管理システム、通報文システムなどは、外部ベンダーに開発を委託しつつ、完成後の一部修正を自社で行うなど、開発の難易度や内容に合わせて内製化と受託開発を使い分けているという。

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