野村総合研究所(NRI)、ELYZA、KDDIの3社は2024年7月24日、企業向け生成AIサービスの提供に向けて協業すると発表した。KDDIの計算基盤、ELYZAのLLM、NRIのSIサービスを組み合わせて、機密情報を扱える高いセキュリティレベルの生成AIサービスを開発・提供するとしている。
野村総合研究所(NRI)、ELYZA(イライザ)、KDDIの3社は2024年7月24日、企業向け生成AIサービスの提供に向けて協業すると発表した。KDDIの計算基盤、ELYZAの大規模言語モデル(LLM)、NRIのSIサービスを組み合わせて、機密情報を扱える高いセキュリティレベルの生成AIサービスを開発・提供するとしている(図1)。
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協業体制として、KDDIは生成AIサービスの提供基盤となる低遅延・大規模な計算基盤の構築・運用と共に、ネットワーク、システム開発を含む関連製品・サービスを提供する。ELYZAはLLM(汎用・領域特化型含む)と生成AI活用基盤サービスの開発を担う。NRIは生成AI活用のコンサルティング/SIを提供する。3社による主な開発・提供の計画として以下を挙げている。
- LLM
- 汎用の国産LLM「ELYZA LLM」
- 領域特化型LLM(業界、個社向け)
- 生成AI関連サービス
- ELYZAが提供する生成AI活用基盤サービス
- NRIが提供する関連製品・サービス(AIセキュリティ統制支援サービス、プライベートLLMなど)
- KDDIが提供する関連製品・サービス(低遅延・大規模計算基盤、高セキュリティなネットワーク、ビジネス基盤「WAKONX」など)
- 業務適用・導入支援
- 上記1、2の業務適用や導入に関するコンサルティング、システムの開発など
「汎用および領域特化型のLLMや生成AI活用基盤サービスを開発し、プライベートクラウドなどの閉域環境下でセキュアに提供する。機密情報の取り扱いが多く、要求するセキュリティレベルが高い企業のニーズに応える」(3社)
KDDIは、AI向けビジネスプラットフォーム「WAKONX(ワコンクロス)」の提供を通じて汎用的なAIモデルの構築を目指している。今回、低遅延な大規模計算基盤の提供に取り組む。領域特化型LLMについては、ELYZAやパートナーと連携して開発し、早期の社会実装を計画する。なお、2024年4月より、ELYZAがKDDIグループに入っている。
ELYZAは、企業の生成AI活用のニーズに応える事業を展開している。高いセキュリティレベル・安定性を求める企業を含む、広範なユーザーに性能にすぐれたLLMを提供するための体制を求めており、今回の協業に至った(関連記事:ELYZA、700億パラメータの日本語LLM「Llama-3-ELYZA-JP-70B」を開発、ベンチマークでGPT-4などを上回る)。
NRIグループは、顧客へのコンサルティング/SIを通じて、生成AIの業務適用、システム構築を行っている。GPT-4やオープンソースLLMなど各種の生成AIサービスのノウハウを有するほか、ユーザーのニーズに合わせたLLMの開発・提供にも取り組んでいる。
今後、3社は取り組みの過程で、相乗効果を発揮できる協業形態についてさらに検討を進めていくという。