今やビジネスのあらゆる場面で活用が期待されるテクノロジーである生成AI。しかし、多くの企業がPoC段階で止まってしまい、本番運用への移行に苦戦している現状があるという。生成AI活用がPoCで終わってしまう原因は何か──。2024年10月2日、Ridgelinezによる「生成AIとPoCに関する記者勉強会」では、同社執行役員パートナーの水谷広巳氏が、日本企業における生成AIの実運用への課題と解決策について、具体的な事例を交えながら解説した。
生成AI導入を検討も、PoCで躓く日本企業
1990年代にはインターネットやPC、2010年代にはモバイルとクラウドが台頭し、2020年代になって生成AIが登場──。こうして歴代の技術と並ぶほどのインパクトが生成AIにはある。
勉強会の冒頭で、Ridgelinez 執行役員パートナーの水谷広巳氏(写真1)は、「生成AIは単なる生産性向上、コストカットのために活用する企業も多いが、インターネットやクラウド以上に企業価値向上に貢献していけるポテンシャルがある技術」と述べ、生成AIのこれまでと最新動向について“おさらい”をした。
写真1:Ridgelinez 執行役員パートナー 水谷広巳氏図1は、生成AIが具体的に企業価値向上に貢献できる領域を示したものだ。
図1:生成AIが企業経営に貢献できる領域(出典:Ridgelinez)拡大画像表示
2022年11月に米OpenAIの「ChatGPT」が登場し、瞬く間に世界中で評判になった後も、さまざまな大規模言語モデル(LLM)や関連サービスが登場し、市場にインパクトをもたらし続けている。生成AIを導入し、業務効率化や変革を目指す企業も多い(図2、3)。
図2:大規模言語モデルの進化(出典:Ridgelinez)拡大画像表示
図3:生成AI関連のサービスやアプリケーションがつぎつぎと登場している(出典:Ridgelinez)拡大画像表示
「ChatGPTをはじめ生成AIツールの多くが導入後すぐに使えるもので、単なる生成AI活用ならば、すぐに取り組むことができる。しかし、一歩進んでPoCの段階になると、全社展開などにおける具体的な問題点などが見えてきて、本番稼働に至らずに導入を諦めてしまうケースが多い」(水谷氏)。
調査によると、生成AI活用のPoCに取り組んだ企業のうち、本番稼働まで進む企業は3分の1程度だという。まさに、PoC止まり、PoC疲れを起こしている。
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