日本総合研究所と富士通は2025年1月23日、三井住友銀行(本店:東京都千代田区)がシステムで利用しているOS「Red Hat Enterprise Linux」のバージョンアップに伴う非互換対応に生成AIを活用する共同実証を行っている。2024年11月5日から2025年1月15日まで実施した検証フェーズでは、従来と比較して非互換情報などの抽出にかかる時間を約65%短縮した。翌1月16日からは検証フェーズで特定した非互換箇所についてアプリケーションを修正する実行フェーズに入っている。
日本総合研究所と富士通は、三井住友銀行(本店:東京都千代田区)がシステムで利用しているOS「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」のバージョンアップに伴う非互換対応に、生成AIを活用する共同実証を行っている(図1)。
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「金融機関において基幹システムのインフラをバージョンアップするのに要する時間とコストは大きい。特に、バージョンアップ時の非互換性の特定と対応は、システム停止などのリスクを伴う」(両社)。
実証は、検証と実行の2つのフェーズに分かれている。2024年11月5日から2025年1月15日まで実施した検証フェーズでは、富士通が開発した生成AIを活用し、非互換情報を約400個抽出した。そのうえで、対象となるC言語とbashシェルスクリプトで記述した約380キロステップのアプリケーションに影響する非互換情報を特定した。
「従来、リリースノートから非互換情報を抽出するにあたっては、膨大なドキュメントを目視や手作業で精査する必要があり、時間と労力を要していた」という。今回は生成AIを適用することで、抽出時間を約65%短縮している。
2025年1月16日からは、検証フェーズで特定した非互換箇所について、アプリケーションを修正する実行フェーズに入っている。