[事例ニュース]
リコージャパン、VRを活用した設計検討ツール「RICOH Virtual Workplace」で建設DXを推進
2026年3月23日(月)神 幸葉(IT Leaders編集部)
東京都建設局が進めている石神井川護岸整備事業に伴い計画されている河川管理用道路の設計業務において、リコージャパンの設計検討ツール「RICOH Virtual Workplace」が採用されている。護岸上に計画された道路設計案をVR空間上に再現し、シミュレーションを行うことで、関係者間の情報共有および合意形成を迅速に進めることが可能となり、業務効率化・生産性向上を実現したという。リコージャパンが2026年3月19日に発表した。
建設業界が直面する「手戻り」と人手不足
建設業界では若年入職者の減少と高齢化が進行し、建設就業者の労働人口は1997年のピーク時に比べて約30%も減少している。これに伴い、現場管理や設計業務における1人あたりの負荷は限界に達しつつある。
リコージャパン スマートコミュニケーション企画センター フィールドソリューション企画室 フィールドソリューション企画グループの前鼻毅氏(写真1)によると、「ICT活用による生産性向上が急務」とされる一方、BIM/CIM(注1)は局所的な導入に留まっているのが現状だ。
写真1:リコージャパン スマートコミュニケーション企画センター フィールドソリューション企画室 フィールドソリューション企画グループの前鼻毅氏注1:BIM/CIM(Building/Construction Information Modeling, Management)とは、調査、設計段階から3次元モデルを導入し、施工、維持管理の各段階において、属性情報(材料、強度など)を付与しながら一連の建設生産・管理システムにおいて活用すること
特に大きな課題となっているのが、設計段階の不備が施工段階で発覚することによる「手戻り」だ。前鼻氏は次のように説明した。
「手戻りによるコスト損失は総工事費の10%から15%に達するというデータもあり、施工段階において修正が発生した場合には、設計段階の10倍以上のコストがかかると言われている」
「RICOH Virtual Workplace」による設計検討の高度化
同社はこういった業界の課題に対し、設計プロセスの高度化を図ることでフロントローディング(初期段階への負荷集中)を実現し、手戻りを減らすことができることに着目(図1)。設計検討フェーズにフォーカスした「RICOH Virtual Workplace」を開発した。
図1:設計検討へのフォーカス(出典:リコージャパン)拡大画像表示
RICOH Virtual Workplaceは、BIM/CIMなどの3Dデータや、現実をスキャンした点群データ(注2)を組み合わせることで、VR空間上に周辺環境も含めた計画構造物を再現し、リアルタイムで設計検討を行うことができるマルチプレイ対応の設計検討ツールである(図2)。
図2:RICOH Virtual Workplaceの概要(出典:リコージャパン)拡大画像表示
注2:点群データとは、レーザースキャナーやカメラなどで取得した空間や物体の3次元形状を数百万〜数十億の点(X,Y,Z座標)で表現したデータを指す。
VR空間の中で、計画・設計内容や施工上の課題を複数人で共有することができ、施工着手後の変更や手戻りを回避し、設計検討業務の効率化を図るという(写真2)。
写真2:VR空間を複数人で共有し、設計検討を行うことができる(出典:リコージャパン)拡大画像表示
「建設業に携わる様々なステークホルダーに、共通のイメージを作ることができるツールだ」と前鼻氏は語り、早期の合意形成による手戻り防止、業務効率化に寄与する価値を提示した。
●Next:事業関係者間で齟齬のない情報共有を可能に
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