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「ガリガリ君」の赤城乳業、S/4HANA Cloudが全社で本稼働、AIデータ活用基盤も整備へ

2026年5月12日(火)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

赤城乳業(本社:埼玉県深谷市)は2026年5月12日、2023年11月から取り組んでいた基幹業務システム刷新プロジェクトを完了し、SAP S/4HANA Cloud Public Editionの全モジュールを2026年1月に本稼働を開始したと発表した。今後はERPデータと外部データを統合するデータレイクを構築し、ダッシュボードでリアルタイムに分析できる環境を整える。

 氷菓商品「ガリガリ君」で知られる赤城乳業は、埼玉県深谷市に本社を置く氷菓専業メーカーである。夏季には1日数千件(明細)規模の受注・出荷を処理している。

 同社はこれまで、大規模なアドオンカスタマイズを施したSAP ERPを基幹システムとして利用していたが、2023年11月からは変化に追従可能なシステムとして「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」(画面1)への移行を進めてきた(関連記事赤城乳業、基幹システムをSAP S/4HANA Cloudに移行、プロセスマイニングで業務を可視化)。

画面1:クラウドERP「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」の画面例(出典:独SAP)
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 S/4HANA Cloudへの移行にあたっては、クリーンコアの考え方の下、長年の運用で増えていたアドオン開発や周辺システムを整理。業務をERPに合わせるFit to Standard手法を採用すると共に、食品業界固有の業務要件については、「OutSystems」や「ASTERIA Warp」を活用したSide-by-Side開発(注1)でAPIによる疎結合連携を実現した。これにより、ERP本体のクリーンコアを維持しながら、業界固有の業務要件も実装できるようにした。

注1:Side-by-Side開発は、独SAPなどが提唱する開発手法の1つ。ERPパッケージを導入する際、標準機能ではカバーできない業務要件を追加(アドオン)で開発する手法を指す。システム本体の実行基盤とは別の外部基盤で開発を行い、APIを通じてメインシステムと連携させるアーキテクチャを採用する。従来のアドオン開発(In-App開発)とは異なり、システムの中心となるERP本体をシンプルに保てる利点がある。

 システムのリリースを段階的に実施している。比較的業務スコープの小さいホールディングス会社で先行稼働させた後、事業会社、物流、営業領域へと順次展開するアプローチにより、移行リスクを抑えながら本稼働を実現した。2026年1月には、予定していたS/4HANA Cloudの全モジュールが稼働した。

 赤城乳業は今後、ERPデータと外部データを統合するデータレイクを構築し、「SAP Analytics Cloud」と連携させることで、リアルタイムダッシュボードによる分析環境を構築する。これにより、現場主導のデータ活用とデータドリブンな意思決定を支える基盤を整える。

 赤城ホールディングスの取締役で財務本部情報システム部部長を務める吉橋高行氏は「現場の業務スピードを損なうことなく、将来のAI活用やデータ経営への基盤を整えることができた」と評価している。

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