NECは2026年5月11日、独自AIとガウシアン・スプラッティングを組み合わせ、大容量の3D点群データを軽量かつ高精細な3Dデータへと変換する技術を開発したと発表した。都市道路や橋梁といった広範囲・大規模構造物の3D点群データを、一般的なPCやタブレット端末でリアルタイム表示できるようになる。デジタルツイン導入の障壁を下げ、現場点検のリモート化を促進する。2027年度中の実用化を目指す。
高速道路事業者などインフラ事業者の現場では、老朽化が進む設備・構造物の維持管理や計画策定などの業務を限られた人員でこなす必要がある。こうした背景から、現実の現場状況を仮想空間に再現するデジタルツインへの期待が高まっている。
一方、都市規模の広範囲な現場を実寸大で再現する際に広く使われている3D点群データは、データ容量が大きく、閲覧には高価な高性能マシンや専用サーバーが必要になる。また、画面上で拡大表示すると奥側が透けて見えるなど、現実の見た目と乖離することがある。
画面1:従来の3D点群データ(左)と、今回の技術を用いた3Dデータ(右)(出典:NEC)拡大画像表示
NECは今回、デジタルツインの社会実装を促進するため、データ容量が大きく細部を把握しづらい3D点群データを、軽量で高精細な3Dデータへと変換する技術を開発した(画面1)。映画やアニメにおける背景生成やバーチャルプロダクションへの応用が進んでいるガウシアン・スプラッティングを利用している。
ガウシアン・スプラッティングは、3Dの形や空間を「小さなぼんやりした点」の集まりとして表現し、これらを重ねることで、なめらかで自然な立体映像を生成する技術である。3D表現技術の中でもデータ容量が軽く処理も速いため、リアルタイム表示に向く(図1)。
図1:変換前後の3Dデータ(出典:NEC)拡大画像表示
NEC独自のAIを用いることで、既存の3D点群データから、各種位置のシミュレーション画像を自動生成できる。一般的なガウシアン・スプラッティングで必要になる現場画像データを新たに用意する必要がなく、既存の3D点群データだけで利用できる。
開発した技術を使うと、元の点群データを90%削減できるとしている。道路・インフラ設備の3D点群データを用いた実例では、4.4GBのデータを316MBへと変換できた。これにより、表示速度が向上し、タブレットや一般的なPCでも閲覧・共有できるようになる。ステークホルダー間の報告や合意形成の迅速化にも貢献する。
表示品質も3D点群データを上回る。建築物や機器に刻まれた文字といった細部の再現精度が高まり、構造物のボルトなど細かな凹凸も正確に表現できるようになる。これにより、遠隔での判断・点検が可能になる。
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