日立プラントサービスは2026年4月24日、病理検査工程や製造ラインにおける手作業での操作をデジタルツインとAIで支援するシステム「FREEDi - SHUGY(フリーディ・シュギー)」を開発したと発表した。作業者と道具の動作と位置関係を時系列の3D情報として計測・データ化することで、手技の情報を定量解析する。
日立プラントサービスの「FREEDi - SHUGY(フリーディ・シュギー)」は、病理検査工程や製造ラインにおける手作業での操作をデジタルツインとAIで支援するシステムである。作業者と道具の動作と位置関係を時系列の3D情報として計測・データ化することで、手技の情報を定量解析する(写真1)。日立産機システムのハードウェア「安全キャビネット」に組み込んだ形で提供する。
写真1:病理検査工程や製造ラインでの手技をデジタルツインとAIで支援する「FREEDi - SHUGY」の利用イメージ(出典:日立プラントサービス)拡大画像表示
こうした製品が生まれた背景には、厳密な品質管理が求められる安全キャビネット内での無菌操作や、製造ラインなどの手作業の現場では、手順のわずかな違いが品質や安全に大きな影響を与えるという事情がある。しかし、熟練者の経験や感覚に基づく作業ノウハウを、特定の人に依存せず共有することは難しい。また、従来は目視による確認が中心だったため、定量的な作業記録を蓄積することが難しく、問題発生時の事後検証も困難だった。
現在、製薬・創薬現場でのPoC(概念実証)を通じて有効性を確認している。また、国立がん研究センター東病院(病理・臨床検査科および臨床検査部)において、病理工程の一部作業の見える化・スコア化に向けた検証を進めている。
開発したシステムは、(1)記録、(2)解析、(3)支援、(4)自動化、の4段階に分けて展開する。現在、細胞培養における分注作業(攪拌・採液・送液など)を対象に検証と実装を進めている。
(1)記録では、安全キャビネットなどの作業環境内に設置した複数台のカメラ映像から、作業者の「手の動き」と「対象物の姿勢(ARマーカーなどを活用)」を検出し、時系列の三次元座標情報としてデータ(デジタルツイン)化する(写真2)。複数カメラの映像を統合することで死角を減らす。作業者の動きと対象物の動きを定量的に記録することで、作業者と対象物との相互作用を把握し、作業を記録・追跡できるようにする。
写真2:安全キャビネット内での操作イメージ(出典:日立プラントサービス)拡大画像表示
(2)解析では、取得した時系列の三次元姿勢情報から、手の軌跡や対象物を動かす速度、角度の変化量といった手技の特徴量を算出する。PoCでは、作業の経験年数などと相関分析し、作業における特徴的な傾向を捉えることができた。今後は、取得した情報を活用し、無駄のない滑らかな動作や理想的な作業スピードを定量的に導き出し、属人化を排除した「標準モデル」の構築を目指す。さらに、これを基にした教育用コンテンツの開発や作業のスコア化によって、作業者の効率的なトレーニングを支援する。
(3)支援では、現在の作業工程(攪拌・採液・送液など)をシステムが自動判定し、モニターに表示するとともに、コンタミネーション(異物混入・汚染)につながるフラスコ上部への手かざしや指定外の場所への接触など、標準作業から逸脱したリスクの高い行為を事前に検知する機能を開発中である。事後ではなくリアルタイムで警告(アラート)を発報する機能を実装し、作業品質の向上とミスの発生防止を支援する。
(4)自動化では、手技の定量解析によって標準モデルを確立する。将来的には、ロボットの制御(デジタル/フィジカルAI)に応用し、熟練者の作業を再現した自動化や関連サービスへと展開していく。
今後、まずは医薬・バイオ分野に向けて展開し、半導体・バッテリーなどの産業分野におけるメンテナンスやプロセス領域へと展開していく。将来的には、熟練者の手技情報をデータ化・標準化し、知見を作業支援や自動化に応用することで、人とロボットが協調する現場を実現する。
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