[イベントレポート]
今こそ価値を見直すべきソフト開発の工学的アプローチ
2010年11月8日(月)佃 均(ITジャーナリスト)
効率的で生産性の高い開発プロジェクトを実践したい、ユーザーの要求を的確に把握できる人材を育成したい…。こうしたニーズは相変わらず根強いものの、理想と現実のギャップは依然として埋まらないようだ。少しでも前進するため、そして日本ならではの品質で勝負していくためには、今一度、工学的アプローチの意義を見直す必要がある。
去る2010年8月23日の午後3時から、東京・神田の専修大学でソフトウェア工学の重要性や必要性を訴える「要求分析を重視した設計手法と分析・設計方法論説明会」が開かれた。主催したのは情報工学にかかわる大学関係者や研究者で組織する実践的ソフトウェア教育コンソーシアム(P-sec、会長:鶴保征城氏)。対象になったのは基幹業務系アプリケーション、取り上げた要求定義・システム設計手法はアトリスの「PEXA」(ペクサ)と、ケン・システムコンサルティングの「Xupper」(クロスアッパー)だ。
当日は、暦の上では朝晩がしのぎやすくなる二十四節季の「処暑」に当たっていた。お盆が過ぎれば例年だと涼風が吹き、芒の穂孕み(ほばらみ)の映像が流れたり空に絹雲がかかるなど、そろそろ秋の気配が見え始める。にもかかわらず、この日は朝から強い日差しが照りつけ、日中の最高気温は摂氏35.1度を記録する猛暑だった。
それもあってP-secの事務局は当初、200人収容の大教室が埋まるかどうかを案じていたのだった。エアコンがよく効いたオフィスから炎天下を押してわざわざ出かけて行くには、相当の意思が要る。
ところがフタを開けると、最後部に補助席を出すほどの満員となった。事前に申し込んだ人の出席率が97%という驚異的な数字を弾き出したのだ。当日参加の人もいたため、受付は一時ごった返し、来場者の氏名と申込みリストのチェックが滞る事態が発生するほどだった。
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