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[ザ・プロジェクト]

『モンスターハンターワイルズ』の開発で、カプコンのITチームが重視したこと

クロスプレイを実現した通信基盤の工夫と、AIによるゲーム開発支援の可能性

2025年6月11日(水)神 幸葉(IT Leaders編集部)

リリース後1カ月で全世界の販売本数1000万本を突破した、カプコンの人気ゲームシリーズ最新作『モンスターハンターワイルズ』。その開発プロジェクトでは、画期的な「プラットフォームフリーなクロスプレイ」を実現するための技術的なチャレンジがあった。2025年5月26日にアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)が開催したゲーム/エンタメ業界の事例説明会に、カプコン CS第二開発統括部 システム基盤部 部長の井上真一氏が登壇。プラットフォームの垣根を取り払うクロスプレイの基盤をAWS上に構築した経緯や、開発現場における生成AIの活用などを紹介した。

技術的なチャレンジがモンハン最新作の魅力につながる

 「バイオハザード」や「モンスターハンター」「ストリートファイター」などの人気ゲームシリーズで知られるカプコン。1979年に前身の会社が創業、1983年に大阪市で設立された同社は、特にアクションゲームやアドベンチャーゲームを得意とし、世界中のゲームプレーヤーに支持されている。

 同社は2025年2月28日、“狩りゲー”の先駆となったモンスターハンターシリーズの最新作となる『モンスターハンターワイルズ』をリリース。1カ月で全世界での販売本数が1000万本を突破する人気タイトルとなっている(画面1)。

画面1:モンスターハンターシリーズ最新作『モンスターハンターワイルズ』(出典:カプコン)
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 この「モンハン最新作」には、ゲームの基盤技術の面で新しいチャレンジがあった。これまでは、PlayStationであればPlayStation版のプレーヤー同士、Nintendo SwitchであればSwitch版のプレーヤー同士と、一緒にプレイできるのは同一のゲームプラットフォーム内に限られていた。それが新作では、プラットフォームの垣根を取り払い、異なるゲーム環境のプレーヤーが共闘できるクロスプレイを可能にした。プレーヤーには、各プラットフォーム固有のネットワークではなく、カプコンが用意する共通ネットワークにアクセスさせることでこの画期的な仕組みを実現している。

 全世界同時発売の新作で、全プラットフォームのプレーヤーが一斉に共通ネットワークにアクセスする──カプコン社内では、トラフィックの負荷が非常に大きくなることが開発の初期段階から明らかだった。

 カプコン CS 第二開発統括 システム基盤部 部長の井上真一氏(写真1)は、クロスプレイを実現する基盤について、「ゼロからスクラッチで開発する選択肢もあったが、運用を考慮し、実績のあるマネージドサービスを活用するほうが適切と考えた」と振り返った。

写真1:カプコン CS 第二開発統括 システム基盤部 部長の井上真一氏

●Next:マネージドサービスをフル活用し、通信遅延を抑制したネットワーク環境を整備

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