日本ティブコソフトウェアは2013年5月24日、同社製BI(ビジネス・インテリジェント)ツールの最新版となる「TIBCO Spotfire5.0」日本語版の提供を開始した。米本社でSpotfireのプロダクト・マネージメント シニア・ダイレクターを務めるルイス・ベイジュック-ヨーガン氏に、最新版での強化点やBIツール市場のこれからなどを聞いた。
―第2の強化点である予測力とは、統計解析機能のことか。
ヨーガン氏 オープンソースの統計分析専用言語である「R」の利用環境を整備した。具体的には新エンジン「TIBCO Enterprise Runtime for R(TERR:テラ)」を搭載したことだ。Rで作った予測モデルを用意すれば、Rを知らなくてもデータに基づく予測分析が可能になるし、その結果を組織内で共有することができる。
これまでは、「S+」という統計処理製品を提供するほか、米SAS Institute製品およびRとの連携で、予測分析に対応してきた。だが、スケーラビリティや性能面、またRについては、オープンソースであることから企業向けサポート面を含め十分とは言えなかった。TERRは、Rで作られた予測モデルをビジネスに生かすための基盤になる。
―ビッグデータ処理に向けたデータ・サイエンティスト育成などが話題だが、Rの利用人口が増えているということか。
ヨーガン氏 予測ニーズの高まりとともにRの存在感は高まっている。大学でRを学んだという人材も増えているし、Rが使える人材を雇おうとしているユーザー企業もある。ただ、TERRはRの開発者を対象にしたものではない。Rの専門家が作成したモデルを、誰もが利用できるようにすることが目的だ。
ビッグデータ時代には、従来のBI機能で物事の大筋をつかみ、そのうえで予測など高度な分析をすることで、より確かな理由を見いだすという流れになっていく。通信事業者における離反率(チャーン)分析やサプライチェーンの最適化などが好例だろう。だが、限られた人しか予測分析できないのでは十分とはいえない。組織全体に展開することが組織力の向上につながっていく。
モデル開発に向けては、開発者版を無償提供している。今後は、TERRをSpotfireだけでなく、リアルタイム処理系システムと連携させたり、ISV(独立系ソフトベンダー)などにエンジンとして提供したりしていく。