日本ティブコソフトウェアは2013年5月24日、同社製BI(ビジネス・インテリジェント)ツールの最新版となる「TIBCO Spotfire5.0」日本語版の提供を開始した。米本社でSpotfireのプロダクト・マネージメント シニア・ダイレクターを務めるルイス・ベイジュック-ヨーガン氏に、最新版での強化点やBIツール市場のこれからなどを聞いた。
―Spotfire5.0における強化のポイントは。
ヨーガン氏 今回は、(1)より大量のデータを扱える力、(2)予測する力、(3)スケールアウトできる力、の三つを強化した。(1)より大量のデータを扱える力としては、そのために、製品の中核をなすインメモリー分析エンジンのアーキテクチャを見直し、メモリー上により大量のデータを読み込んで高速にデータ分析できるようにした。1億レコードを対象にした処理では、旧バージョンに比べ10倍高速になっている。
加えて、「イン・データベース」と呼ぶ機能を搭載した。テラデータなど既存のデータベース製品に対し、Spotfireが持つ可視化とインタラクティブ(対話型)な操作環境を提供する。画面上でグラフや表を操作すると、その裏側でクエリー文を生成し、データベースに演算を要求。その結果を再度、Spotfire上で可視化できる。メモリー上に展開できるデータ量に左右されることなく、大量データを扱える。テラデータのほか、OracleとMicrosoft SQL Serverに対応している。
―旧バージョンで、分析中のデータだけをインメモリーに読み込み、必要なデータの範囲が変わるとデータベースからデータを読み込む「データ・オンデマンド」機能を提供してきた。インメモリーの処理能力が高まった最新版で、イン・データベースを提供する意味は。
ヨーガン氏 すべてのデータにインタラクティブ性を提供することだ。フロントエンド・ツールとはいっても、イン・データベースは既存のBIアプリケーションとは大きく異なっている。これまでのBIでは、分析に利用できるデータ・事前に利用できるDWHをIT部門が設計・構築しなければならず、新たな課題に直面した際には再度、IT部門に変更を依頼しなければならなかった。そのための時間が、現在のビジネスの速度からみれば不満に映るわけだ。
これに対しイン・データベースでは、エンドユーザーが必要なときに分析用データを取得できるようになる。分析の強力さや柔軟性でいえば、インメモリー処理が勝るが、扱えるデータ量はメモリー容量に依存する。イン・データハウスでは、存在する全データをインタラクティブに操作できるのが最大の利点になる。データ・オンデマンドは両者をハイブリッドにしたもの。ユーザーが持つデータ量や分析用途に合わせて、それぞれを使い分ければ良い。
ビジネスの進捗を速めるには、結果を早く出し次の行動に早く移る必要があるということにBIツールベンダー各社が着目している。インメモリー処理などの機能強化を図っているが、データベースと連携しながらのシームレスな分析環境としてはSpotfireに一日の長がある。