オンワード樫山を中核とする大手アパレルのオンワードグループが、顧客の心に訴えるファッションをタイムツーマーケットで届ける組織体を強化すべくDXに邁進している。2022年には、展開する種々な施策を支えるグループ共通のファイル管理基盤を刷新。クラウドストレージの「Box」を中心に、業務効率化・自動化、ローコード/ノーコードの内製開発などを進めている。取り組みの旗を振るオンワードホールディングス DX推進室で課長を務める杉本隼氏に、主要グループ会社のDX推進における取り組みの実際を聞いた。
オンワードグループのデジタル化を牽引するDX推進室
オンワードホールディングスは、東京・日本橋に本社を置く大手アパレルメーカーの持株会社である。中核事業会社のオンワード樫山は、1927(昭和2)年に樫山商店として創業。歴史を重ねて「日本人のファッション」に取り組み続けてきた。
「生活文化創造企業」を標榜し、デザイナー、パタンナーから工場まで生産企画チームをインハウスで持つ同社は、企画開発力・技術力を強みに、「23区」「組曲」「自由区」「五大陸」「J.PRESS」など、ターゲット層やテイストの異なる、多様な人気ファッションブランドを展開している(図1)。

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オンワードホールディングスは、ファッション、ウェルネス、コーポレートデザイン事業の3つを柱とする国内事業と海外事業を営む傘下の関係会社、計56社(2025年2月期)からなるオンワードグループ全体の経営管理を担っている。
グループの中長期経営ビジョン「ONWARD VISION 2030」では、マーケットに即応した生産性の高い企業組織の構築を目指し、グループの全領域においてデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を掲げている(図2)。その戦略の軸に顧客戦略、販売サービス向上、企画生産効率化、コーポレート業務効率化を置き、それらへの取り組みを通じて、2030年度までにコア顧客となるオンワードメンバーズの会員数を1000万の大台に乗せることを目指している。
このようなグループのDX戦略を牽引するのが、その名のとおりDX推進室だ。もともとはオンワード樫山の情報システム部門であり、2022年にオンワードHDに移管、2023年3月に現組織名に変更された経緯がある。

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●Next:ファイル管理基盤の刷新でオンワードグループの働き方が変わる
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