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【特別企画】モバイル・ファースト時代のためのIT基盤像がここに─2013年7月18日開催「IBM Impact 2013」

2013年6月12日(水)

市場環境が大きく変化する中、経営活動は顧客との接点をどう見い出し、それをつなぎ止めるかにかかっている。そのための手段として注目されているのがスマートフォンなどモバイル端末と企業情報システムと連携であり、クラウドの活用だ。そうした中、モバイルやクラウドなどを活用するための新しいIT基盤の姿が、7月18日に品川プリンスホテルで日本IBMが開催するイベント「Impact 2013」で示される。同イベントの見所を紹介する。

スマートフォンやタブレット端末といった個人向けモバイル端末が、企業のビジネスモデルや情報システムとは無関係だと主張する声は、もはや聞こえてこないはずだ。むしろ、BYOD(Bring Your Owen Devices)とったキーワードに象徴されるように、顧客や従業員などが所有するモバイル端末との接点をどう築き上げるかが、これからの事業拡大には不可欠となってきており、「モバイル・ファースト(モバイルありき)」の時代が訪れている。

では、モバイル・ファーストなビジネスモデル、あるいは情報システムとはどのようなものなのか。そんな疑問を抱く企業に対し、解決に向けた道筋を示すのが、この7月18日に日本IBMが開催する「Impact 2013」だ。「ビジネスが動く。新たなプラットフォームが動かす。」をメインテーマに、モバイルやクラウドなどの新しいテクノロジーに対応しながらビジネスのスピードを高めるための新しいIT基盤像とビジネスプロセス、それらを実現するための仕組みなどが明らかにされる。

Impact 2013
Impact 2013

モバイルがバックエンドまでの全体最適を求める

モバイル・ファーストといいながら、「なぜビジネスプロセスやIT基盤を取り上げるのか。モバイルとは関係がないのでは」ととらえる方が、いるかもしれない。だが、企業がモバイルに取り組む上で最も重要なことは、デバイスから基幹システムまでのエンド・ツー・エンドをいかに連携させるかである。単に「スマホからWebにアクセスできます」というだけでは、市場の変化に柔軟に追従できる企業情報システムを構築できたとはいえないからだ。

その観点からIBMは、モバイル/クラウド時代の情報システムを考えるに当たっては、次の5つが不可欠だとしている。

  1. モバイルを(情報システム戦略の)最優先に位置づける
  2. 顧客中心でビジネスを設計し、プロセスを作り直す
  3. 社外(モバイル)と社内(バックエンド)を柔軟かつセキュアに統合する
  4. データによる洞察とデータ駆動を重視する(アナリティックスやルール)
  5. 変化に対応するためにオープン・アーキテクチャを採用する

すなわち、真のモバイル/クラウド対応とは、企業情報システムをファイアウォールで強固に守るという発想ではなく、安全を確保しながらも社外システムをインタラクティブにやり取りできることであり、モバイル/クラウドから得られる大量のデータを活用することである。そこでは、ビジネスプロセスの見直しは不可避だということだ。

「Impact2013」では、メインテーマに続くメッセージとして「主役はIT部門」を掲げるのも理由は同じである。スマートフォン導入だけ、顧客管理のクラウド導入だけであれば、利用部門の判断によっても成果を上げられるかもしれない。しかし、日本企業が今、取り組まなければならないのは、バックエンドを含めた全体像の最適化に他ならない。

エンド・ツー・エンドの連携を実現する基盤となるのが、SOA(サービス指向アーキテクチャ)のテクノロジーである。BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)もSOAも1990年代、2000年代からある考え方であり基盤技術である。ただ残念ながら、当時のハード/ソフト環境では理想像を描き切れなかった。それが最新のハード/ソフト、あるいはクラウド環境を前提にすれば、モバイル・ファーストの実現に向けては、BPMやSOAに正対することが大きな意味を持ってくる。

日本の環境に即した実説的なソリューションを提示

日本に先行して米ラスベガスで4月末に開かれたImpact2013には、世界から8500人を超えるビジネスおよびテクノロジーのリーダーが参加し、モバイルやクラウド、あるいはビッグデータ、ソーシャルの活用について活発な議論が繰り広げられた。日本の「Impact2013」では、そこでの内容を単に繰り返すだけでなく、米国での最新動向を踏まえながらも、日本企業を取り巻く環境に即したテクノロジーや事例などを紹介することで、より実質的なソリューションに基づく企業の変革を促したい考えである。

その現れの一つが午前中に催される基調講演だ。日本IBM ソフトウェア事業 WebSphere事業部長の三戸 篤 氏をファシリテータに、日本市場に対してIBMから、企業が取り組むべき優先順位と方向性を提言しつつ、ゲスト企業として、東京海上日動システムズとパイオニアといった企業が登壇し、モバイル/クラウドを活用してのビジネスプロセスの変革を目指した、実際の取り組みとその効果を論じていく。

また、今回のイベントの目玉セッションとして、トヨタメディアサービスなどユーザー企業のIT責任者や、IT業界の識者をパネリストに迎えるパネルディスカッション「モバイル・クラウドとの付き合い方」(A-5)が開かれる。これからの企業情報システムの開発・運用に変革をもたらすヒントになる、新たな考え方・思想をテーマに、多角的な議論が展開される予定だ。

なお、本パネルディスカッションのモデレーターは、IT Leaders編集長 田口潤が務める。

基調講演に続く午後のセッションは、(1)テクノロジーの動向、(2)モバイル、(3)クラウドとアプリケーション基盤、(4)システム間連携、(5)ビジネスプロセスの5トラックに分けて展開される。それぞれで、最新の考え方やテクノロジー・トレンド、ユーザー事例などを紹介するのも、モバイル・ファーストの具現化に向けては、デバイスのみに目を向けるのではなく、企業情報システムの“全体像”をつかみ取ってほしい考えからだ。

午後のセッションから、いくつかをイベント開催に先駆けて紹介しよう。

まず、グローバルな動きを紹介するセッションには、米IBMの技術者による次の二つがある。モバイル・ファーストに直結した「モバイル・ソリューションの構築と展開におけるベストプラクティス」(B-3)と、PureApplication Systemに関する「IBM最高技術責任者が語るPureApplication System最新動向」(A-1)だ。

前者(B-3)は、米IBMのDistinguished Engineerで、サービス部門でモバイル&WebSphereのCTO (最高技術責任者)であるローランド・バルシア氏によるもので、企業におけるモバイルアプリケーション構築時の成功ポイントと陥りやすい失敗点について、数々の構築現場から得たノウハウが紹介される予定である。後者(A-1)は、タイトルにあるように、米IBMのフェローでもあり、PureApplication Systemの生みの親であるジェイソン・マギー氏自らが、PureApplication Systemの現状とこれからについて解説する予定だ。

企業に必要なモバイル基盤を1パッケージで提供するIBM Mobile Foundationの概要
企業に必要なモバイル基盤を1パッケージで提供するIBM Mobile Foundationの概要

事例ベースに、より具体的な課題とソリューションを解説

Impact 2013では、ユーザー企業またはユーザー企業への導入を手がけたシステム・インテグレータによる事例に基づくセッションが多いのも特徴だ。

具体的には、モバイル分野の「ロッテ・カードにみるハイブリッド・モバイル・アプリケーションの成功事例」(B-1)や「MEAP活用のポイントとWorklight6.0最新アップデートのご紹介」(B-4)。BPM分野の「ホーマックの基幹情報システム再構築におけるSOA/BPM技術適用事例」(F-1)や「実践!BPMを活用した、グローバルサプライチェーンプロセス改善!」(F-2)、そして「硬直化したITシステムからのイノベーション〜BPM、ルール管理を活用した守りのITから攻めのITへの変革事例〜」(F-3)だ。

クラウドとアプリケーション基盤分野では、「低レイテンシービジネスに求められる技術と、実装工程における課題を検証する」(C-1)が、システム間連携分野では「DataPowerアプライアンスによるゲートウェイ構築への道〜そのチャレンジと応用〜」(D-4)などがある。

それぞれの講演者や講演内容の詳細は、既に公開されている「Impact2013」のWebサイトに譲るが、スマートフォンで躍進著しい韓国ロッテのモバイルアプリケーションや、北海道を拠点にホームセンター事業を展開するホーマットのIT基盤再構築の実際、大量のアクセスをさばく楽天証券のIT基盤の実際などについて、それぞれの当事者による解説が聞ける機会になるはずだ。

Impact2013のメインテーマ「ビジネスが動く。新たなプラットフォームが動かす。」は、米国で開かれたImpact2013のメインテーマ「Business. In Motion」を意訳したもの。モバイルやクラウドといったテクノロジーが、“これから”のテーマでなく、既に実践フェーズにあることを訴えている。結果、企業が構築してきたIT基盤も変化を求められ、そのIT基盤が新しいビジネスを創出するというわけだ。

新しいIT基盤像を描き、それに基づくビジネス戦略の立案に寄与できるのは、IT戦略の中枢を担うIT部門長やITマネジャーにほかならない。そうした立場にある方々は、Impact2013の各セッションで、これからのIT基盤の姿と具体的なソリューションに触れるとともに、展示会場で実際に体験することで、ビジネス改革に貢献するためのヒントをつかみ取ってみてはいかがだろうか。

Impact 2013
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