医療/ヘルスケア分野におけるクラウド活用の議論・促進を目的に発足した「クラウド医療・健康・福祉フォーラム」の第1回カンファレンスが東京で2013年8月30日と31日に開かれた。高齢化に伴う患者数や医療費の増加、医師不足による救急医療や地域医療体制の崩壊など、医療現場の課題は山積している。以下では、高齢化が進む地方都市の1つ兵庫県丹波市で、在宅介護のあるべき姿の実現に向けてクラウドを活用する柏原赤十字病院の片山覚 院長の取り組みを紹介する。
兵庫県中部にある丹波市でも、過疎化の波からは逃れられない。同地域に位置する柏原赤十字病院の片山 覚 院長は、地域医療再生をテーマに情報共有基盤を構築することの必要性を聴衆に訴えかけた。
高齢者や慢性疾患患者などに対しては、医師が訪問する在宅医療のケースが増えてくる。訪問先では、医師はもとより、訪問看護師やケアマネージャなども関わっての連携プレーが必要だ。片山院長は、「地域医療では、限られた医師と施設で広範なエリアにいる患者をサポートしなければならない。そこでは医療従事者や施設、地域をまたがって患者の情報を共有できるネットワークの重要性が増す」と指摘する。
在宅医療では、患者情報の一元化が不可欠に
例えば、カルテ。在宅医療では、診察の経過や既往症などを記したカルテを院外に持ち出すことになる。だが、救急で医師が自宅や外出先から患者宅に駆け付けた場合、病院からカルテを持ってこられないため、「いつでも、どこからでも患者情報にアクセスできる仕組みが必要だった」(片山院長)。
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