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【Impact2014レポート(後編)】Composable Businessのもう1つの面はデータ活用の「Actionable Insight」

2014年5月8日(木)田口 潤(IT Leaders編集部)

2014年4月27日~5月1日(現地時間)に米ラスベガスで開催された米IBMの年次カンファレンス「Impact2014」では、「ビジネスや事業に貢献するIT」に焦点が当てられた。「Be First!(1位になる!)」になるためのキーワードとして「Composable Business」を掲げ、具体的な手段としてPaaS(Platform as a Service)の「BlueMix」を強調した。カンファレンスの内容は、ITの方向性を考えるうえで、示唆に富むものだった。後編では、2日目の基調講演を中心に紹介する。

開発中の「ODM Adanced」、ルールで意思決定を支援

 医療関係ではもう1人、カナダ・オンタリオ工科大学のCarolyn McGregor博士が登壇し、薬の人体への影響をリアルタイムに把握する取り組みを語った。「医療の分野では上手くやらないと、命に関わります。アーティストのスティービー・ワンダーは未熟児として生まれ、酸素を40%多く投与されたために失明しました。ですから、例えば赤ん坊にモルヒネを与えたとき、輸血や酸素吸入の際に、ICU(集中治療室)でリアルタイムにアクションがとれるインサイトが必要です」。

 同大の病院では毎日9000万件のデータが発生しているという。だが、McGregor博士は「データがあるだけでは意味がありません。IBMのInfoSphereプラットフォームによって新しいシグナルを探し、メッセージを出す取り組みを実践しています」と話す。

図4:Actionable Insightを実践する、もう一つのツール「IBM ODM Advanced」(開発段階)
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 これらの話を受けて、IBMのBob Picciano上級副社長は、開発段階にある、もう1つのツール「IBM ODM Advanced」に言及した(図4)。ODMとはオペレーショナルな意思決定、つまり現場で時々刻々と発生するデータに基づいてリアルタイムで意思決定するためのツールである。「IBMはルールエンジンを含めたBPMの完成度を高めてきました。ベストな洞察、意思決定をアクションにつなげられます。しかし、問題はますます複雑になっており、リアルタイムで扱うデータは増加しています」(Picciano上級副社長)。

 そこでODM Advancedには、(1)時間や位置を含めたコンテクストアウェア(状況認識)、(2)予測分析とルール駆動、(3)リアルタイムかつ大量のデータ分析、といった機能を持たせるという。

図5:様々なビッグデータを犯罪捜査に活かすデモ。図中のSORはSystems of Record=市民データのことだ
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 さらにBlueMix上で犯罪捜査のアプリケーションとODM Advancedを組み合わせたデモとして麻薬捜査のケースが実施された。住民データや市民から寄せられる通報、犯罪マップなどのデータに、麻薬関連のtwitterの情報や、地域の電力・水道の使用量データを重ね合わせることで、麻薬の栽培や精製が行われている建物を特定する内容だ(図5)。

 「現在、モバイルやインメモリーのデータ、空間データや時系列のデータなど様々データが入手できます。それらを積極的にエンゲージメントすることが、犯罪に勝利する鍵です」(Picciano上級副社長)。

部門トップのSteve Mills氏がハードウェアの重要性を力説

 2日目の基調講演の後半には、ソフトウェア&システム部門トップのSteve Mills氏が登壇。話題をインフラの重要性に舵を切った。

 「Impact2014では、WebSphereだけでなく、モバイル、クラウド、データ、ソーシャルなど包括的で広いテーマを扱っています。我々全員が直面するビジネスの問題に対処することを考えた結果です。一方で我々は、物理的な世界に生きており、性能の問題は外せません。性能をもたらすのはインフラであり、SoRもSoEもインフラに支えられてつながります。(会場の)皆さんはインフラに注意を払わないかも知れませんが、インフラがあるから現代の世界があるんです」

 具体的には、今年50周年を迎えたメインフレーム(zEnterprise)や、フラシュ搭載のストレージ、zEnterpriseに接続できるデータ分析アプライアンスのNetezza、さらにSoftware Defined Storageなどである(図6)。さらに「効果的で正しいインフラの選択こそが、効果的なITに欠かせません」(Mills氏)と語り、Pure Application SystemやPure Data System、WebSphere Cast Ironといったアプライアンス製品を強化する考えも示した。

 続いてPowerの責任者であるDoug Balog氏が、2014年4月に発表したPower8について説明した。トピックの1つは、IBMが中心になって2013年設立したOpenPOWER財団の成果。参加企業が当初の5社から26社に増え、そのうち米GoogleがPower8を搭載したマザーボードを開発し、一部のサービスに利用する計画だという。日本企業では日立製作所が参加する。

 「CAPI」と呼ぶ外部にアクセラレータを接続するインタフェース標準も策定した。「データが増えれば増えるほど、メモリーが大事になります。Power8ではメモリーにフラッシュを使えるようにし、80TBのメインメモリーを構成できます。1TBではありません。CPUとメモリーを結ぶバンド幅も増大させ、DB2の処理性能は58倍になっています」。

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【Impact2014レポート(後編)】Composable Businessのもう1つの面はデータ活用の「Actionable Insight」 [ 2/3 ] 2014年4月27日~5月1日(現地時間)に米ラスベガスで開催された米IBMの年次カンファレンス「Impact2014」では、「ビジネスや事業に貢献するIT」に焦点が当てられた。「Be First!(1位になる!)」になるためのキーワードとして「Composable Business」を掲げ、具体的な手段としてPaaS(Platform as a Service)の「BlueMix」を強調した。カンファレンスの内容は、ITの方向性を考えるうえで、示唆に富むものだった。後編では、2日目の基調講演を中心に紹介する。

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