ミック経済研究所は2015年4月2日、日本国内のデータセンター市場と消費電力量に関する調査結果の概要を発表した。主要データセンター事業者25社への個別実態調査を含む41社を対象に2014年12月~2015年2月に実施され、国内データセンター市場の売上高やデータセンターの消費電力量、延床面積、省エネ施策などの動向をまとめている。
消費電力量の増大ペースが市場の成長を上回り、値上げを検討する事業者も
一方、国内データセンターの消費電力量について同社は、2014年度で140億1000万kWh(前年度比8.4%増)と試算。前出のデータセンター市場の成長率(6.6%増)と比較すると消費電力量の増加が1.8ポイント分伸びが大きい。
要因としてミック経済研究所は、IT機器の消費電力量が全体的に増加していることを挙げている。まず、ユーザー企業の間でクラウドや仮想化技術を用いたIT機器の集約化が進み、ラックあたりの実効消費電力はわずかだが上昇傾向にあること。また、事業者が空きラックをそのままにせずに新規契約を結んで稼働させたり、ユーザー企業がクラウドで自社のITインフラ全体をカバーできないため、コロケーションなどで追加のラック契約を行ったりする動きから、総稼働ラック数が現在も減少していないことの2つを同社は指摘。結果として「稼働ラック増×実効消費電力増」の算式でIT機器の消費電力量が増しているという。
また、ファシリティの消費電力量については、データセンター事業者ごとで取り組まれている空調、電源など設備の省エネ施策の効果により、IT機器のそれに比べて抑えられていると同社は説明する。2011年以降、全国の電力会社の電気量料金単価は上昇が続いている。データセンターは特別高圧契約であるが、一般の電気量料金単価と同様に上昇したため、データセンター事業者が電力会社に支払う金額は増加し続けているという。
これまで多くの事業者は、顧客の意向を汲んでデータセンターサービス価格を引き下げ、その分、自社設備の消費電力量を抑えることで収益性の維持向上に努めてきた。ただし同社によれば、2015年現在のサービス価格がボトムに達しているという声も出てきており、さらなる省エネ施策を行いながらも、電気量料金単価の上昇やサービスの価値向上などを理由に、サービス価格の値上げを検討している事業者が増えつつあるという。
同調査の詳細は、ミック経済研究所が販売するレポート「国内のデータセンタ市場と消費電力量に関する調査結果(調査期間:2014年12月~2015年2月)」で報告されている。