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[市場動向]

経産省と東証が「攻めのIT経営銘柄」に18社を選定

2015年5月28日(木)杉田 悟(IT Leaders編集部)

2015年末、経済産業省と東京証券取引所が、上場企業を対象にした「攻めのIT銘柄」を募集した。製品/サービスの開発やビジネスモデルの革新などの“攻め”にITを活用し一定の成果を上げている企業を選定するためだ。初の「攻めのIT銘柄」として18社が、このほど発表された。設計通りにIT活用に好影響がでるのか、今後の動きに注目したい。

 攻めのIT経営銘柄は、特定テーマについての企業の取り組みを評価し、銘柄として選定する「テーマ銘柄」の一環として行われたもの。ベースには、経産省と東京証券取引所が2012年に開始した「なでしこ銘柄」の成功がある。なでしこ銘柄は、ダイバーシティ推進の一環として、女性の登用が進んでいる優良上場企業を選定した「テーマ銘柄」の1つで、選定企業の株価が上昇するなど一定の成果を上げている。

 攻めのIT経営銘柄の選定については、まず上場企業約3400社に調査票を送付し、回答があった企業を選定対象にした。これを33の業種に別け、業種別の選択項目により点数を付け、基準以上の企業を選定した。そのうえで、収益力が高い、つまり“稼げる”企業の指標であるROE(Return On Equity=自己資本利益率)の直近3年間の平均値が、同業種の平均を上回っている企業をスクリーニング(ふるい分け)し、残った企業を最終審査対象にした。

写真2:ROE8.%で経営のITへの関与度は大きく変わる写真2:ROE8.%で経営のITへの関与度は大きく変わる
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 ROEを指標に加えているのは、過去3年間のROEが株価に影響するとされる8%以上の企業は、それが8%未満の企業よりITの取り組みに積極的と言えるため。「攻めのIT経営銘柄選定委員会」の委員長でもある一橋大学大学院商学研究科教授の伊藤邦雄氏の調査によれば、ROE8%以上の企業の42.3%が、「経営トップは、社内において最もITに関心及び知見のある者の一人である」と回答しているのに対し、ROE8%未満の企業は21.0%と約2分の1だった(写真2)。

 同調査では、「ITを活用した事業革新のために、社内でIT人材を育成する計画がある」への回答が、ROE8%以上が71.8%に対し同8%未満は52.2%。「情報システムの維持管理・改善について、経営トップ自らシステムの刷新に取り組んでいる」では同8%以上が43.7%に対し、同8%未満は20.0%という結果も出ている。両者のITに対する取り組み姿勢に歴然たる差があることを示している。

 ROEによるスクリーニングを経た企業を対象に、選定委員会による最終審査を実施した。評価ポイントは、(1)経営計画における攻めのIT活用・投資の位置づけ、(2)攻めのIT活用・投資の企画に関わる社内体制及びIT人材、(3)攻めのIT活用・投資の実施状況(事業革新のためのIT活用・投資)、(4)攻めのIT投資の効果及び事後評価の状況、(5)攻めのIT投資のための基盤的取り組み、の5つ。最終的に選ばれたのが18銘柄というわけだ。

 これら18銘柄は、「攻めのIT経営」のベンチマークである。思惑通り株価に影響が出れば、同業他社にとっての目標になるからだ。それにより、「攻めのIT経営」に対する各社の取り組みが促進されれば、日本企業ひいては日本経済の成長につながっていく。18銘柄の発表会には、経産省商務情報政策局の富田健介局長や東証の清田瞭社長のほか、宮沢洋一経済産業大臣も駆けつけたほど、経産省の期待は高い。

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