NECがIoT(Internet of Things:モノのインターネット)事業の強化に向け、独自のシステム構成モデルを提唱している。クラウドコンピューティングの構成を発展させた「5層モデル」である。今後は5層モデルをベースに業種・業態別のIoTソリューションを開発していく。まずは、物流業、新電力、小売り・サービス業、官公庁・自治体、水道事業者向けを順次、投入する。
業種別にIoTソリューションを展開
NECは今後、5層モデルに沿ったIoTソリューションを業種・業態別に開発し投入する。その1つが、物流業界向けの「画像・重量検品ソリューション」。2015年7月23日に発売した。作業台に設置したカメラで撮影した商品の画像を、あらかじめ登録してある画像情報と照合することで、どの商品が何個あるかを特定する。バーコードや電子タグを使わずに検品作業が行える(写真2)。
2015年7月末には、新電力向けの「電力需要予測ソリューション」を発表した。電力消費量の実績データを元に、天候やイベントなど電力需要量に関係しそうな影響因子を組み合わせて電力需要を予測する。独自の「異種混合学習技術」を活用し、様々なデータが混在する中から、パターンや規則性を自動的に発見する。高精度な電力需要予測に基づいた発電計画や電力調達計画の立案が可能になる。
小売り・サービス業向けの「VIP検知接客支援ソリューション」は、2015年度(3月期)下期に発売する。顔認証技術によりVIP顧客やUG(望まれざる客)を見つけ出すもので、認証技術は、米国立標準技術研究所(NIST)のベンチマークテストで第1位の評価を獲得している。
官公庁・自治体向けには、「土砂災害検知・予測ソリューション」を2015年度下期に、「水需要予測ソリューション」を2016年度中にそれぞれ発売する予定だ。前者は、土中の水分量から土砂斜面の崩壊の危険度を算出する仕組み、後者は水道事業者に対し、「どのような時に、どれくらい水が消費されるか」を予測するための仕組みである。異種混合学習技術とビッグデータを活用している。
ソリューションの対象業種は今後、ヘルスケアや農業などに広げていく。並行してIoT事業のためのSE要員も増やす。現在、グループ会社も含めて約100人だが、これを2020年度には、約500人にまで増強する予定だ。関連売上高は、2015年度の500億円予定を、2020年度には3000億円にまで拡大したいとしている。