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ERP、SCM、CRMなどの投資が高水準で推移、米Gartnerの今後5年の予測

2015年8月31日(月)田口 潤(IT Leaders編集部)

企業アプリケーションの中核を成すERP(Enterprise Resource Planning)やSCM(Supply Chain Management)、CRM(Customer Relationship Management)などに対する今後5年間の投資動向を米Gartnerが発表した。デジタルビジネスへの対応が背景にあり、今後5年間は年7.5%増と高い水準で推移するという。

 モバイル、ビッグデータ、あるいはIoT(Internet of Things:モノのインターネット)−−。いずれも企業が取り組む必要がある重要なテーマであることは疑う余地がない。だが、その前に取り組むべき別のテーマもある。ERP(Enterprise Resource Planning)やSCM(Supply Chain Management)、CRM(Customer Relationship Management)といった業務アプリケーションのモダナイゼーションだ。前者を「Systems of Engagement(SoE)」、後者を「Systems of Record(SoR)」と呼ぶことは本サイトで何度も言及しているが、多くの場合、SoRあってのSoEだからである。

 このことは日本に限った話ではない。米Gartnerが2015年8月末に発表した市場予測によれば、ERPやCRMといったエンタープライズ(企業)アプリケーションへの全世界での投資が2015年には対前年比で7.5%成長し、1499億ドル(17兆3880億円)になる見通しだ(発表資料)。モダナイゼーションに加えてアプリケーションの機能拡張やSaaS(Software as a Service)への置き換えもあって、2019年には2010億ドル(24兆1200億円))にまで成長するという。マーケティングやeコマース、アナリティクス(BI:Business Intelligence)など周辺アプリケーションもこの期間、高水準の伸びを維持するとされる。

 では、SoRへの投資内容はどんなものなのか?Gartnerは、以下の8項目からなるトレンドを指摘している。当然かつ予想の範囲とも言えるが、要約すると、オンプレミスからクラウドへ、ライセンス購入からサブスクリプション(利用料支払い)へという動きが、企業アプリケーションのトレンドだ。

項目1:コアな企業アプリケーションのモダナイゼーション

 ITプロジェクトの優先度トップ5の1つは、オンプレミスの企業アプリケーションをモダナイズすること(回答者の45%)。次いで企業アプリケーションの機能拡張(同41%)である。

項目2:新たな費用モデルの浸透

 ライセンス購入以外の契約が新規の企業ソフトウェア導入の50%を超え、月額利用料支払いの契約、特にSaaSが企業に広く浸透しつつある。SaaS以外には、ホストされたライセンス利用、オンプレミスのサブスクリプション、およびOSS(Open Source Software)がある。

項目3:デジタルビジネスの広がり

 デジタルエコノミーにおける競争優位の確保が世界中の企業にとって優先度が高まっている。これが企業アプリケーションの需要を大きくしている。例えばSCMのシステムをモダナイズする、あるいは最新のSCMシステムを導入する必要が高まっている。

項目4:HCM(Human Capital Management:人材管理)システムのSaaS化

 Gartnerは既存のHCMシステムのうち28%が2019年までにSaaSベースに移行すると予測する。2014年時点では13%だった。ただし地域ごとに違いがあり、北米は14年の19%から19年の34%へと広がる一方、中東アフリカではSaaSの利用は限定的に留まる。

項目5:企業アプリケーションの購入から構築へのシフト

2020年までに、デジタルビジネスをサポートするアプリケーションの75%は購入(buy)ではなく、構築(build)になる。Gartnerの調査では、企業はアプリケーションコンポーネントを組み合わせて差別化あるいは革新的なシステムを構築する意向が明らかになっている。

項目6:オフィスソフトの急ピッチなクラウド化

 一部の部門導入も含め、クラウドベースのオフィスソフトを調達する企業は2015年中に15%になる。その割合は2020年までに60%前後へと急速に高まる。

項目7:「アドバンストアナリティクス」の拡大

 テキストマイニングや機械学習、パターンマッチングなど分析を自動化する「アドバンストアナリティクス」の利用が拡大し、2020年までに75%の企業が導入する。企業が、すでに起きたことの分析から予測分析や最適化へのシフトを進めることが背景にある。

項目8:新興国におけるCRMのクラウド化

 特に北米ではハイブリッドモデルも含め、クラウドによるCRMの利用は一般化した。しかし、新興国を含めた、そのほかの地域では通信網やデータセンターの制約、国を超えた顧客データの移動に対する政府の規制などから、クラウド化は進んでいない。その状況は今後急速に変わる。2012年の10%前後から2020年には25%前後にまでクラウド移行が進む。

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