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NEC、ブランド品の真贋判定を「モノ」の認証技術で可能に

2015年9月25日(金)杉田 悟(IT Leaders編集部)

ブランド品などの偽造品販売は、現在もECなどを使って頻繁に行われている。ターゲットになりやすい高級ブランド品のメーカーや販売会社は、ブランドを守るため、偽造対策に多大な費用をかけている。近年では日用品の偽造品、模造品も出始めている。中には人命にかかわる場合もあり、問題は深刻化している。2015年9月24日NECは、偽造品対策に活用できる認証技術を発表した。それが「物体指紋認証技術」だ。

 特許庁の「模倣被害調査報告書」によると、模造被害対策費の1社平均は2013年度に年間710万円に達している(図1)。また、NECによると偽造品の対象は、バッグなどの高級ブランド品だけでなく日用品にまで広がっているという。中には、人命に係わる製品もあり、より多くの企業に偽造品対策が必要となっている。

(図1)出展:特許庁「2014年度模倣被害調査報告書 調査結果の概要」
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 NECの物体指紋認証技術は、同社が2014年11月に世界初の技術として発表したものだ。「FIBAR特徴抽出」という技術を使ったもので、工業製品などの表面の微細な紋様をスマートフォンなど汎用のカメラで撮影し(写真1)、事前にデータベースに登録した紋様の画像と照合することで、その製品の真贋判定を行う(写真2)。指紋認証や顔認証、更には農産物の認証に至る生物認証で高い評価を受けてきた同社の認証技術を、「モノ」の認証に応用したものとなっている。

(写真1)スマホで写真を撮るだけでかんたんに真贋判定が行える
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(写真2)判定後正規製品は「認証OK」(左)偽造製品は「認証できません」(右)と表示される
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 当初は金属など全反射する材質の認証にしか使えなかったため、ネジやボルトなどの部品管理やトレーサビリティなどが主な利用用途として考えられていた。今回NECは、認証対象の材質としてプラスチック樹脂や繊維、皮革、塗装済の製品などが加わったことを発表した。光沢と透過を含むプラスチック樹脂には、「光沢特徴抽出」、繊維や皮革、塗装面など凹凸のあるものには、凹凸の影を使った「影特徴抽出」という技術を適用させている。これで、偽造の対象となりやすいカバンや財布などのブランド品の真贋判定にも、この技術が利用できるようになった。

 物体指紋認証技術は、製造時に自然発生する表面の微細な紋様を個体識別に使うため製品自体で認証が行え、これまでブランド品などの偽造防止のために行っていた識別用タグの取り付けや特殊加工を施す必要がなくなった。また、データベースとの照合用に撮影する写真は、スマートフォンやデジタルカメラなど汎用のカメラで撮ったものを使える、照合用データベースおよび照合システムはクラウド上に用意されているなど、導入コストを抑える工夫がなされているのも特徴となっている。

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