経費精算や交通費精算のデジタル化に踏み切れていない企業はまだ多いといわれる。中堅・中小企業の中には、紙やExcelを使った精算フローを続けている企業もあるだろう。このような経費精算システムを、主に大企業に提供してきたクラウドベンダーのコンカーが中堅企業向けの経費精算システムを国内投入した。同社は今後、中小企業向け製品の展開も予定しているという。「中堅・中小企業にも大企業並みのパーフェクトエクスペンス(最高の経費精算体験)を」とアピールしている。
コンカーは、出張・経費管理ソリューションを提供する米国のクラウドベンダー。2014年に独SAPに買収されているが、業務向けSaaSとしては、Salesforceに次ぐ第2の売上実績を誇っている。全世界での導入企業数は3万社以上で、大手企業についてはフォーチュン500企業の61%がコンカーを導入しているという。
日本市場には2011年に参入しており、現在520社のユーザーを獲得している。これは、国内市場の53%を占める数字だという。わずか4年で市場の半分以上を獲得したことになる。もともとコンカーは大企業向けに開発されており、日本ではユーザーの9割近くが大企業となっている。
ところが、米国では大手と中堅・中小の実績が拮抗しており、特に中堅・中小ユーザーの伸びが顕著だという。米国で先行導入した中堅・中小向け製品「Concur Expenseスタンダード版」の急成長がその要因だという。2015年11月18日、その中堅・中小向け製品を、日本でも販売することを発表した。
Concur Expenseは、定期券経路の除外機能を含む交通費の自動計算や会計システムとの自動連係、スマートフォンのカメラ機能で対応可能な電子領収書対応など、経費精算の省力化、ペーパーレス化を支援するソリューションだ。国内ではこれまで、大手企業向けの「プロフェッショナル版」のみが販売されてきた。
従来の「プロフェッショナル版」と、新たに提供することになった「スタンダード版」では、何が違うのか。基本機能はほぼ共通で、中堅企業は大手と同じ機能が使えるようになる。異なるのは、拡張性と導入費用だ。大手企業向けのプロフェッショナル版ではグローバル展開やグループでの展開を視野に拡張性を持たせている。一方のスタンダード版では国内での単独利用を想定しているため、拡張性を限定している。
また、プロフェッショナル版ではパラメータ設定をコンカーのコンサルタントが行うため、導入費用が発生する。一方、スタンダード版ではこれが無料となっている。パラメーターを、ユーザー自らがウィザードで設定するセルフ方式となっており、3回までの電話サポートが含まれている。
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スタンダード版は、米国では中堅・中小企業向けに提供されているが、日本ではまず中堅企業向けに販売していく方針だという。国内販売は2016年に開始する。2017年には、中小企業向けの販売も開始する予定だ。