次世代のコンテナ技術として注目されるDockerは、いよいよエンタープライズシステム領域での活用に広がりを見せている。2015年10月14日に開催された「PaaSコンファレンス2015」(主催:インプレス)のセッションにおいてレッドハットは、Dockerおよびそのオーケスレーション機能Kubernetesをベースに同社が提供開始したPaaS基盤の最新版「OpenShift Enteprise 3」を紹介し、今後の自律的なシステム運用のあり方を示唆した。以下に主要トピックを紹介する。
そしてレッドハットでは、こうしたKubernetesを含めてDockerを“賢く”活用するためのPaaSの提供を開始した。それが「OpenShift Enterprise 3」である。

従来のOpenShift Enterpriseでは擬似的なコンテナ技術を使ったPaaS基盤を提供していたが、今回のバージョンアップによってデファクトスタンダードなコンテンツ技術であるDockerベースのPaaS基盤に生まれ変わったのである。「オーケストレーション機能としてKubernetesを採用するほか、JBossや DB、CI/CDなどのアプリケーション開発環境、OpenShift Web UIにいたるまで、レッドハッドが有するテクノロジーを包括的に提供。開発から本番、運用、更新のサイクル全体を一貫したアジャイル開発とDevOpsをサポートします」と岡下氏は語った。
単なるPaaSの領域を超え、Dockerアプリケーションのためのシステム基盤として発展を遂げたのがOpenShift Enterprise 3なのである。
自律的にシステム運用ができる世界を今すぐに実現できる
このようにOpenShift Enterprise 3には、企業がDockerを使うためのベストプラクティスがあらかじめ実装されているため、「ユーザーがDockerに関する詳しい知識を習得する必要はありません。OpenShift Enterprise 3を使って開発すれば、おのずとDockerを使っていることになります」と岡下氏は強調した。
例えばそこには57種類の「Dockerプロジェクトテンプレート」が用意されており、この手順に沿うことでDockerアプリケーションを開発することができる。併せて自動的なDockerビルド(Source to Image)、ネイティブDockerの取り込み・実行、統合IDE連携、コマンドラインツール、セルフサービス・ユーザー管理・チーム開発、継続的インテグレーション・継続的デリバリーなどの仕組みも提供される。
開発からテスト、ステージング、本番にいたるDockerイメージのデプロイ手順も自動化される。無停止切り替え(Blue Green Deployment)によるローリングアップデートはもちろん、障害が発生した際のデプロイのロールバック、コンテナネットワークの自動設定なども可能だ。
図3 専門知識がなくてもDockerを賢く使えるOpenShift Enterprise 3拡大画像表示
開発したDockerアプリケーションを安全に運用する観点からは、スケジューラによる起動・停止、スケールアウト(パラメータによるオートスケール)、 障害時の自動復旧、異なるデータセンター間でのレプリケーション、稼働監視・モニタリングといった機能が用意されている。
さらに、Dockerアプリケーションのイメージはリポジトリ(Docker Hub)によってバージョン管理が行われており、Image Streamによるイメージ履歴やタグ付けを行うほか、 イメージビルド手順の自動化によりOSやミドルウェアに対するパッチ当てを完全に統治することが可能だ。
「障害が発生してもサービスが継続できるようにKubernetes機能で対応します。新しい機能が毎日追加されることにはDevOps機能で対応します。システム化のための多くの作業が自動化されるべく様々なサービスで対応します」(同氏)と、OpenShift Enterprise 3を活用するメリットを総括。自律的なシステム運用を今すぐに実現し、実践できる環境が整ったことを強くアピールした。
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