日立製作所と三菱東京UFJ銀行(現行名:三菱UFJ銀行)は2016年8月22日、シンガポールで小切手の電子化を対象としたブロックチェーン技術活用の実証実験を開始することを発表した。この実験を通して新たなFinTechサービスの実現につなげたい考えだ。
シンガポールでは2016年6月に、通貨監督庁(MAS:Monetary Authority of Singapore)の主導で「Regulatory Sandbox」と呼ばれる、FinTechサービスの発展に向けた枠組みのガイドライン策定に関する市中協議文書が公表されている。
Regulatory Sandboxは、英国の金融当局であるFCAが2104年に開始した金融分野の革新政策の一環として始まったもので、金融商品・サービスの事業者に対して、現行法の影響を直ちに受けることなく安全な実験環境を提供する取り組みのこと。
今回両社はこの枠組みを活用して、日立のアジア地域統括会社である日立アジアと三菱東京UFJ銀行が中心となって開発したシステム上で、ブロックチェーン技術を活用した電子小切手の発行・決済、実用化に向けた課題抽出を行う。
電子小切手におけるブロックチェーン技術の活用が実現すると、金融機関における小切手の仲介業務の自動化や取引記録の改ざん防止、小切手決済の迅速化が可能になるとしている。
具体的には、逐一金融機関を通して企業や一般利用者の小切手取引が行われるのではなく、監督官庁、銀行、企業、一般利用者がプライベートブロックチェーンでつながり、参加銀行と参加企業、参加銀行同士、参加銀行と一般利用者間の小切手の取引がブロックチェーンを通して、直接かつ安全に行われるようになるという構想を描いている。