アシストは2018年1月9日、企業システムの運用業務で発生するシステムイベントを分析するソフトウェア機能をクラウド型で提供するサービス「千里眼SaaS」を同日付けで強化したと発表した。テンプレートを拡充したほか、JP1イベントデータとシステムリソースデータとの相関分析が可能になった。さらに今回、千里眼SaaSを利用してジョブ管理システムの稼働状態や性能を診断する「千里眼SaaS ジョブ品質評価サービス」の無料提供を開始した。
アシストの「千里眼SaaS」は、企業システムの運用業務で発生するシステムイベントを可視化して分析するためのクラウドサービスである。日立製作所のシステム運用管理ソフト「JP1」に蓄積された、システム運用時に発生する様々なログやイベントを、可視化して分析する。米Qlik Technologiesが開発したBIソフト「QlikView」に、JP1のデータを可視化/レポートするための専用テンプレートを付けて、これをクラウド型で提供する。クラウド基盤にはAWS(Amazon Web Services)を利用している。
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製品提供の背景について同社は、JP1のコンソールだけでは大量のイベント情報の中から重要な情報の抽出が難しいことを挙げる。「千里眼SaaSでは、分析対象のイベント数を削減し、埋もれていた情報を抽出し、分かりやすさ重視で可視化する。イベント発生件数の推移や監視カテゴリ別の割合といった各種の評価基準をテンプレートとして最初から用意している」(同社)。
今回の機能強化では、テンプレートを拡充した。ジョブ管理業務で課題となるバッチやジョブの品質改善を図るため、ジョブ処理時間の延伸、ジョブの遅延、ジョブ異常、の3つの観点で評価レポートテンプレートを拡充した。これにより例えば、業務処理の開始/終了/処理時間の推移を分析し、夜間バッチの処理時間の延伸や遅延によるオンライン開局処理への影響を把握できる。
別の機能強化点として、JP1イベントデータの取り込みに加えて、システムリソースデータ(Windowsパフォーマンスモニタにて収集したリソース情報)を分析用のソースとして追加できるようにした。ジョブの処理時間とシステムリソース情報を相関分析することにより、処理時間の延伸や遅延の傾向が見受けられる環境や時間帯に影響がありそうなシステムリソースを特定できる。
千里眼SaaSの価格(税別)は、月額9万8000円。契約期間は年単位で、初期費用は別途必要。販売目標は、2018年12月末までに30社。
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なお、今回の機能強化に合わせ、千里眼SaaSを利用してジョブ管理システムの稼働状態や性能を診断する「千里眼SaaS ジョブ品質評価サービス」の無料提供を開始した。JP1/Automatic Job Management System3のログと、事前提出シートの内容を基に、顧客企業の運用業務やシステムの特性についてヒアリング訪問した後、アシストにて千里眼SaaSにシステムログを取り込み、レポートを作成する。これにより、アプリケーションの改善や、サーバリソースの見直し、運用体制の再整備などを支援する。