ガートナージャパンは2018年3月12日、主要先進国7カ国で実施したデジタルワークプレースに関する調査結果を発表した。日本は、IT活用スキルの自己評価、活用デバイスやアプリケーションの新しさ、デジタルスキル獲得の機会や関心の高さなどで他国に大きな遅れがあるとしている。
業務用途のデジタルテクノロジーのスキルに関する自己評価、すなわち自身のスキルレベルをどう捉えているかに関する比較では、日本は自分を「素人」ないし「中程度」のレベルと考える従業員が6割近くを占め、調査した7カ国中、最も自己評価が低い結果になった。逆に、「熟練」「エキスパート」の合計値が最も高かったのは、米国の77%(熟練61%、エキスパート16%)だった。
自組織における作業用デバイスとアプリケーションの新しさに関し、日常的に業務で利用しているPC、スマートフォンを含む携帯電話、業務用アプリケーションなどについて、どれくらい新しいものを使っているのかを尋ねた結果、日本は「かなり古い」と「2~3世代遅れ」を合わせた回答率(36%)が他国と比べて最も高い結果になった。最新の装備を利用している割合が高い国はフランス(43%)、次いでシンガポール(38%)だった。
一方、それらの満足度を尋ねた質問(最高7点~最低1点の7段階)では、総じてデバイスやアプリケーションの新しさとその満足度に明らかな相関関係が見られた(例えばデバイスの場合、デバイスが「かなり古い」従業員の満足度は3.4、「2~3世代遅れ」が同4.3、「1世代遅れ」が同5.1、「最新」が同6.0)。日本の満足度の総合平均点はデバイス、アプリケーションともに4.7で、ほかの6カ国がすべて5を超えているのと比較してかなり低い結果になっている。
デジタルスキルを獲得するための手段と機会、例えば、オンライン・セルフトレーニングや各種のトレーニングをどれだけ活用しているかの比較では、他国は日本以上にデジタルスキルの獲得に注力していることが見てとれる。
注目すべきは、デジタルスキルを習得するための手段と機会に「関心なし」として、ITスキルの向上に初めから消極的な従業員の割合が16%と7カ国の中で日本が最も高い点である。こうした従業員は、トップダウンでITによる改革をいくら進めても、過去の自らの成功体験に対する執着が強いリーダー的存在あるいは自己の流儀を変えようとしない人々である可能性が高く、それだけに解決が困難な問題と言えるとしている。