「新しい通貨」「石油に代わる主要資源」など、今日のデータの重要性についてはさまざまな表現があるが、その収集と価値への転換で欠かせないのがデータマネジメントだ。この分野に早期から取り組んできた先進企業はどのような実践で成果を上げているのか。米インフォマティカ(Informatica)の年次イベント「Informatica World 2018」に登壇した同社の顧客が語った、“データドリブン企業”への転換の秘訣を紹介する。
自動車業界の転換期、データ活用を最重要テーマに据えるトヨタ
「自動車業界は大きな変革期にある。グーグルやアップルなどテック企業が自動車に、自動車企業がテック企業になろうとしている」──これはトヨタ自動車ノースアメリカ(Toyota Motor North America)で先進技術・イノベーション・データアナリティクス(Advanced Technologies, Innovation、Data&Analytics)担当ゼネラルマネジャーを務めるジャヤデーバ・ゴピナス(Jayadev Gopinath)氏の言葉だ。
Informatica World 2018最終日のクロージング基調講演で、インフォマティカのエグゼクティブバイスプレジデント兼CPO(最高製品責任者)、アミット・ワリア(Amit Walia)氏は、上述のゴピナス氏、オランダの大手通信事業者KPNでデータ・情報管理担当バイスプレジデントのエリー・アン・デ・ボア(Elly An De Boer)氏、ニュージーランド銀行(BNZ:Bank of New Zealand)のエンタープライズデータ・情報サービス製品・技術統括のキャット・コリッチ(Kat Kolich)氏を壇上に招き、各社のデジタル化の取り組みについてディスカッションした。
テスラ(旧社名:Tesla Motors)をはじめとする新規参入企業があり、グーグルやウーバー(Uber)などのハイテク企業が自動/自律運転分野の事業化を急速に推し進めている。その中でトヨタやフォルクスワーゲン、ルノー・日産アライアンス、ゼネラルモーターズ(GM)など既存の自動車メーカーはいずれもトランスフォーメーションを迫られている。
「デジタルがその原動力となっている。鍵を握るのはもちろんデータだ」とゴピナス氏。トヨタノースアメリカはデータの高度活用にあたって、20年以上前からInformaticaを使い続けてきた。その同社が最大の課題としているのがデータドリブン企業へのトランスフォームだ。「ビジネスが、業界そのものがまったく新しいものに生まれ変わる。そこで生き残るためには、いかにしてデータをうまく活用するかである」(ゴピナス氏)。
実際、データはさまざまなところで自動車業界を変えつつある。自動/自律運転やコネクテッドカー、工場およびサプライチェーンの最適化、そして消費者の車の買い方までも変わってきているとゴピナス氏は指摘する。
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