NECは2018年10月1日、同日付けで専門組織「デジタルトラスト推進本部」を設立した。AIの活用や生体情報の活用がプライバシーに与える影響を考慮したものであり、これらのデータを事業で扱う際に生じる課題への対応を強化する狙いがある。
NEC新組織のデジタルトラスト推進本部は、法制度や倫理などのノウハウを持った専門要員で構成する。あわせて、有識者、NPO、消費者などで構成する「外部有識者会議」を設置する。これにより、AIの活用や生体情報の活用によって生じる課題に対応する。
具体的には、データの流通にかかわる事業の戦略策定と推進、人権に基づく製品・サービスの企画、人権に基づく全社ポリシーや社内ルールの策定と管理、権利者との対話によるコンセンサスの獲得や政策の提言、社員や取引先などの人権に対するリテラシーを向上させる施策などを行う。
NECは、2017年4月に「データ流通戦略室」を設立し、個人情報の活用に向けた戦略の策定や政策の提言などを進めてきた。新組織の名称であるデジタルトラスト推進本部は、デジタル時代に信頼され続ける企業でありたいという思いで命名したという。
取り組みの背景について同社は、個人情報を活用した新サービスが期待されていることを挙げる。「こうした中で、プライバシーへの配慮や、倫理などを鑑みた活用原則や法制度への対応が重要となっている。人とAIが共存するためのガイドラインについても、国際的な議論が進んでいる。新組織は、事業者としてこれらを具体化/実践する取り組みである」(同社)。