小売店向けのデジタルマーケティングサービス事業者のFlow Solutionsは2018年10月9日、小売店舗のデータを可視化するクラウドサービス「InSight」を強化したと発表した。無線LANなどをクラウドで管理して可視化するサービス「Cisco Meraki」とAPIで連携することによって、顧客の位置情報を取得できるようにした。小売店舗への入店率、店前通行人数、店内の滞在時間、などを収集して可視化できるようになる。
Flow Solutionsの「InSight」は、店舗に関する様々なデータを統合して可視化するクラウドサービスである。来店客数、来店者の店内行動、属性、試着室の利用状況など、買い物客の行動データを可視化する。POS(販売時点情報管理)データや天気、スタッフのシフト表といった外部データも統合して管理できる。これにより、購買率やスタッフの効率といったKPIが分かる。
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今回の強化では、シスコシステムズが提供しているクラウドサービスで、無線LANアクセスポイントの設定を一元管理できる「Cisco Meraki」とAPIで連携できるようにした。Cisco Merakiによって、店舗に来店した顧客が持つスマートフォンの無線LANの信号を感知し、位置情報を可視化できる。これをInSightに取り込んでデジタルマーケティングに利用する。
具体的には、無線LANの信号から、入店率、店前通行人数、店内の滞在時間といった、顧客が購買に至るまでのデータを収集する。これらのデータを可視化することによって、売場作りに活かしたり、プロモーションの効果測定に活かしたりできる。Cisco Merakiを導入済みの小売企業は、より手軽にInSightの利用を始められる。
製品提供の背景について同社は、顧客の購買行動データを蓄積できるオンライン店舗と異なり、リアル店舗は顧客の行動データを蓄積できていないことを挙げる。「このため、売場作りや接客サービスは、経験値と勘に頼ってきた。InSightによって、こうした状況を改善できる」としている。