日本コカ・コーラは、消費者がTwitterに掲載した日常生活の写真画像から、清涼飲料「コカ・コーラ」の飲用シーンを分析する実験的なプロジェクトを2017年に実施した。成果として約50の飲用シーンを発見した。ピザやポップコーンといった思い浮かびがちなシーンだけでなく、ペットや山登りといったシーンでも多くの消費者がコカ・コーラを飲んでいることが分かった。テクノロジーの1つとして、米Googleの画像認識API「Google Vision API」を活用した。
日本コカ・コーラの経営戦略部門ナレッジアンドインサイツでディレクターを務める小林康二氏が、グーグル開催の記者発表会に登壇し、画像認識APIの事例として同社の取り組みを説明した。消費者がTwitterに掲載した日常生活の写真画像から、清涼飲料「コカ・コーラ」の飲用シーンを分析する、というプロジェクトである(図1)。プロジェクトの期間は3~4カ月で、2017年に実施した。
![図1:Twitterの画像を画像認識APIを使った分析し、消費者がどんな場面でコカ・コーラを飲んでいるかを調べた(出典:日本コカ・コーラ)](/mwimgs/f/e/500/img_fee01e1a86b84a49180e6aa45e346dc9169514.jpg)
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従来、コカ・コーラがどんなシーンで飲まれているのかを調べるためには、アンケートなどのテキストを分析するというやり方が主だった。今回、日本コカ・コーラが挑戦したやり方は、ビジュアル(写真画像)から飲用シーンを調べるというもの。コカ・コーラのロゴが写り込んでいる写真画像をソーシャルメディアから抽出して分析することにした。生活者の視点に立った投稿が多いSNSとして、Twitterを選んだ。
まず、Twitterの過去3年分ほどのデータから、コカ・コーラのロゴが写っている写真画像7万枚を抽出した。ここで、米Googleの画像認識APIサービスであるVision APIを使い、実際に消費者がコカ・コーラを消費しているシーンと、コカ・コーラの広告や自販機などが写り込んでいるだけの非消費シーンに分類した。こうして、非消費シーンを除いた消費シーン4万枚を抽出した(図2)。
![図2:Google Vision APIを使って、7万枚の画像から消費シーン4万枚を抽出し、それぞれにラベルを付けた(出典:日本コカ・コーラ)](/mwimgs/a/5/600/img_a5cd1b5916bfe8628705aafcb9ab46c5147670.jpg)
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Vision APIでは、何が写っているのか、どんなシーンなのかについて、ラベル付けも行った。フード(食品)やポップコーンなどのラベルを付けた。4万枚の画像に対して、2000個のラベルを付けた。ただし、Vision APIのラベルは横一線であり、「自然、森、木」などの階層構造を持たないので、後工程として、データサイエンスの力でクラスタリングした。
![写真1:日本コカ・コーラの経営戦略部門ナレッジアンドインサイツでディレクターを務める小林康二氏](/mwimgs/a/e/200/img_ae6867fb824d2010fee490b6797d8010124342.jpg)
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成果として、約50のコカ・コーラの飲用シーンを発見できた。想定内の飲用シーンとして、ピザ、ポップコーン、夏の海といったシーンがある。新たな気付きとしては、ペット、山登りといったシーンで多くの消費者がコカ・コーラを飲んでいることが分かった。
「これまではアンケートなどによるテキスト分析が主流だったので、ペットと一緒に飲んでいるといった情報は得られていなかった。画像分析によって、有益な情報を得られた」(日本コカ・コーラの経営戦略部門ナレッジアンドインサイツでディレクターを務める小林康二氏、写真1)。