相模鉄道は、スマートフォン用アプリ「相鉄線アプリ」を2018年12月13日にリリースする。機能の1つとして、駅業務の中でも負荷の高い「駅窓口業務」の自動化を狙い、問い合わせにAIが自動で応答するチャットボットを試験運用する。チャットボットのシステム構築を手がけたオムロン ソーシアルソリューションズの親会社であるオムロンが2018年11月26日に発表した。
相模鉄道は、スマートフォン向けにリリースする相鉄線アプリにおいて、駅利用者からの問い合わせに自動で応対するチャットボットを試験運用する(画面1)。駅業務に特化したAIを搭載しており、利用客の言葉から必要な要素の過不足を判断し、不足事項を確認しながら適切に回答するとしている。
ディープラーニング(深層学習)技術と自然言語処理を活用し、利用客ごとの表現の違いを自動で補正して類義語としてグルーピングする。これにより、表現の違いによって質問の意味を理解できずに回答できないといった、これまでのチャットボットの課題を解決する。
試験運用では、チャットボットによる駅窓口業務の省力化の効果を検証するとともに、利用客からの質問とチャットボットの回答内容の精度を分析し、改善プロセスを通じて駅業務特化型のAI技術の向上を目指す。
開発の背景について同社は、労働力人口が減少する中、鉄道業界においても人手不足の課題が顕在化していることを挙げている。「特に、窓口での旅客からの問い合わせ対応は負荷が高く、効率化が課題となっている。一方、利用客のニーズは多様化しており、利用しやすい駅サービスの提供が求められている」(同社)。
チャットボットの構築を手がけたオムロン ソーシアルソリューションズは、鉄道業界において自動改札機、券売機、精算機などの駅務機器システムや遠隔監視サービス、安全システムなど、駅運営に携わるシステムと運用サポートを提供している。