PwCあらた有限責任監査法人は、業務プロセスのデジタル化によって監査業務の効率を上げる取り組みに2018年から着手している。システムの一部は完成しており、社内での実証実験も始まった。2019年1月には、社員を対象にシステムのトレーニングも実施した。今後、システム開発と並行し、全社での利用を促進する。同社は2019年4月18日に説明会を開き、デジタル化の取り組みの詳細を説明した。
写真1:PwCあらた有限責任監査法人でパートナー/監査業務変革推進部長を務める久保田正崇氏拡大画像表示
PwCあらた有限責任監査法人は、会計データを元に企業を監査する監査業務を実施している企業である。同社は2018年から監査業務のデジタル化に着手している。これまでは会計士がチームを組んで監査業務を手がけてきたが、今後は会計士ではないIT人材などを増やし、監査業務をデジタル化していく。
同社は、現状の監査業務の課題として、監査のためのデータを作る作業に7~8割の時間が削がれていることを挙げた(写真1)。データを分析したり判断したりする本来の監査業務にかけられる時間は、2割ほどしかない。こうした状況を生んでいる一番の原因は、会計データなどが紙で管理されていることだという。
監査対象の企業には、会計システムなどのITシステムがあり、当然、それらのシステムにはデジタルデータが格納・管理されている。ところが、監査に利用する会計データなどは、紙の資料として倉庫に保管されていたりする。こうした非デジタルのデータを探し出したり、データを標準フォーマットに変換したり、データにエラーがないかを確認したりする作業に多くの時間を費やしている、という問題だ。
システム化を進めている新たな取り組みでは、会計システムなどで管理している会計データを、いったん紙に印刷することなく、デジタルデータのまま活用できるようにする(図1)。これにより、監査業務の効率が向上するほか、データの正確性が向上する。すでに、2018年から実証実験に着手済みである。
図1:新システムでは、会計システムなどで管理している会計データを、いったん紙に印刷することなく、デジタルデータのまま活用できるようにする(出典:PwCあらた有限責任監査法人)拡大画像表示
新システムではまず、会計システムなどから取得したデータを、PwCあらた有限責任監査法人の標準フォーマットに変換する。AI(人工知能)を用いた会計データの仕分検証ツールも用意し、データの不正やエラーを自動で見抜けるようにする。また、BI(ビジネスインテリジェンス)ソフトも導入する。
監査業務のデジタル化を進める組織として、同社は、2018年7月に監査業務変革推進部を立ち上げた。2019年は、全社員3000人を対象にトレーニングを実施するほか、現場にツールを配布する。直近では、2019年1月にパートナー職を対象にワークショップを実施した。また、監査対象の企業に対しても、システムのデジタル化を積極的に提案していく。
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