米ThousandEyesの日本法人であるサウザンドアイズ・ジャパンは、インターネットの体感性能を測定して可視化するサービスを提供している。顧客が感じる自社Webサイトの体感性能や、社員が感じるSaaSアプリケーションの体感性能を可視化する。2019年5月13日、記者説明会を開き、同社のサービスを紹介するとともに、国内のユーザー事例としてヤフーとリコーの2社を紹介した。
サウザンドアイズ・ジャパンは、インターネットを介したWebアクセスの体感性能を測定して可視化するサービスを提供している企業である(図1)。測定エージェントとWebサイトの間のエンドツーエンドの通信について、通信の中身、ネットワーク経路、レスポンス、などを可視化する。この上で、サイトにアクセスできなかったり、サイトが遅くなったりしたことを検知し、原因を解析する。
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サウザンドアイズ・ジャパンの可視化サービスは、クラウド型で提供する。体感性能を測定するエージェントソフトは、ユーザーが導入するものとしては、エンドポイントのPCに導入するエージェントと、拠点ごとに導入するエージェントを提供する。このほかに、米ThousandEyesが全世界にクラウド型のエージェントを配置している。これにより、自社Webサイトへの体感性能を知ることができる。
説明会で発表した国内事例の1社がヤフーである。Yahoo! JAPANで提供する各サービスの体感性能を測定して可視化している。従来の監視に加え、社外からのユーザー目線での監視に利用する。国内事例のもう1つが、リコーである。リコーの社員から見たクラウドサービス(Office 365や、VMware Workspace ONE)の体感性能を監視して可視化している(図2)。
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サウザンドアイズ・ジャパンが可視化サービスを提供する背景について、米ThousandEyesでプロダクト・マーケティング担当バイス・プレジデントを務めるAlex Henthorn Iwane(アレックス・ヘンソーン-イワネ)氏(写真1)は、「現在のアプリケーションはパブリッククラウドに移行しているため、情報システム部門がインフラをコントロールできない」点を挙げる。
アレックス氏は、サウザンドアイズ・ジャパンのサービスがクラウドサービスの障害を検知した実例を2件紹介した。1つは2018年11月18日に発生したG Suiteへのアクセス障害である。サンフランシスコからG Suiteへのトラフィックが中国のChina Telecomで止まっていた。原因は、ナイジェリアのISPであるMainOneのGBP設定ミスであり、誤った経路情報がインターネットに流れたことである。もう1件の障害は、2019年3月13日にFacebookとInstagramで起こったアクセス障害である。問題はネットワークではなくサーバー側の問題であることを突き止めた。
なお、同社の可視化サービスは年間契約で、月額で料金がかかる。国内販売代理店は3社で、伊藤忠テクノソリューションズ、ネットワンシステムズ、日立システムズが販売している。