日立製作所は2019年7月22日、工場を支えるモーター設備の異常をマシンラーニング(機械学習)で診断する予兆診断技術を開発したと発表した。2019年10月から提供する。特徴は、電流センサーのデータを用いて異常を検知することである。このため、現場の機器に直接センサーを設置する必要が無い。
日立製作所は、電流センサーのデータをもとに、モーター関連設備に発生した異常を自動で検知する技術を開発した(図1)。モーター関連設備が劣化すると、モーターにかかる負荷が変わるため、モーター電流の挙動が変化する。この微小なモーター電流挙動の変化から対象機器の劣化状態を表す特徴量を抽出し、マシンラーニングによってモーターの異常を見つけ出す仕組み。

拡大画像表示
従来は、現場のモーター関連設備を熟練保守員が巡回し、個々に点検・診断作業を行っていた。今回開発した技術では、個々のモーター関連設備に振動・温度センサーを設置することなく、電気室にある制御盤内に設置された電流センサーのデータをもとに遠隔で分析を行える。
仕組み上、多数のモーター関連設備の個々のデータを取得し、集約して点検・診断できる。このため、対象設備が多い場合でも効率的に保守が行える。多数の設備の劣化状態を把握できるので、必要と判断したものだけをメンテナンスするCBM(コンディションを考慮した保守)が可能となる。