[技術解説]

ガートナー、先進テクノロジーのハイプサイクル2019年版を発表、5Gやエッジ分析が期待のピーク

2019年8月30日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

ガートナー ジャパンは2019年8月30日、米ガートナー(Gartner)が2019年8月29日に発表した「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2019年」(日本語訳)を発表した。5G(第5世代移動通信システム)やエッジアナリティクスは「過度な期待のピーク期」にあり、3Dセンシングカメラや自律走行(レベル4)は過度な期待のピーク期から「幻滅期」へと移行しつつある。ガートナーは2019年のハイプサイクルに見られるトレンドとして、センシングとモビリティなど5つの先進テクノロジーを挙げている。

 米ガートナー(Gartner)の先進テクノロジーハイプサイクル(Emerging Technologies Hype Cycle)は、ビジネス戦略の担当者や研究開発のリーダーなどが先進テクノロジーのポートフォリオを策定する際に考慮すべきテクノロジーとトレンドとして、同社が業種横断的な視点から分析を行い作成したグラフである(図1)。

図1:先進テクノロジーのハイプサイクル:2019年(出典:ガートナー ジャパン、2019年8月)図1:先進テクノロジーのハイプサイクル:2019年(出典:ガートナー ジャパン、2019年8月)
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 ハイプサイクルは、テクノロジーの普及度やトレンド遷移を示すガートナー独自のグラフであり、テクノロジー普及のプロセスを、黎明期、過度な期待のピーク期、幻滅期、啓蒙活動期、生産性の安定期の5段階に分け、それぞれのテクノロジーをグラフ上にプロットする(関連記事ガートナー、日本におけるCRMのハイプサイクル2018年版を発表、ペースレイヤが期待のピーク)。

 今回発表されたのはその先進テクノロジー版であり、他の分野別ハイプサイクルよりも注目度が高い。米ガートナーのアナリスト/バイス プレジデントのブライアン・バーク(Brian Burke)氏 は、企業・組織にとっての活用意義を次のように説明する。

 「テクノロジーイノベーションは、競争上の差別化をもたらすカギとなっている。テクノロジーが変化するスピードは加速を続けており、ビジネスとテクノロジーの革新的な意思決定者でさえ、画期的なテクノロジーに追随することは困難である。テクノロジイノベーションのリーダーは、ハイプサイクルで取り上げたテクノロジーを参考に、先進テクノロジーがもたらすビジネス機会の可能性を探るべきである」

今年の「過度な期待のピーク期」技術は
5G、エッジ分析、AI PaaS

 先進テクノロジーのハイプサイクル2019年版では、2000を超えるテクノロジーを分析したうえで知見を抽出し、29の先進テクノロジーおよび5つのトレンドとして簡潔にまとめ、提示したとしている。今後5~10年にわたって高度な競争優位性をもたらす可能性が高い一連のテクノロジーにとりわけ注目しているという。

 過度な期待のピーク期にあると指摘している技術の例に、5G(第5世代移動通信システム)やエッジアナリティクス、AI PaaS(AI PaaS(サービスとしてのAIプラットフォーム)などがある。

 過度な期待のピークを越えて幻滅期に入った技術の例に、自律走行(レベル4)などがある。黎明期に位置する技術の例としては、バイオテクノロジー(培養組織や人工組織)、イマーシブワークスペース(Immersive Workspace:没入感のあるワークスペース)、敵対的生成ネットワーク(GANs:Generative Adversarial Networks)などがある。

●Next:ガートナーが示す5つの先進テクノロジートレンド/テクノロジーの一覧表

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