[調査・レポート]

ガートナー、日本におけるCRMのハイプサイクル2018年版を発表、ペースレイヤが期待のピーク

2018年12月19日(水)IT Leaders編集部

ガートナージャパンは2018年12月18日、「日本におけるCRMのハイプ・サイクル:2018年」を発表した。ビジネスの差別化につながる顧客中心的なCX(カスタマーエクスペリエンス)の提供に当たり、注目すべきCRMのトレンドが明らかになったとしている。

 ガートナーは、CRMの定義を「顧客セグメントを中心に顧客満足度が向上する行動を推進し、顧客中心型のプロセスを実装することで形成される収益性、売り上げ、顧客満足度を最適化する成果をもたらすビジネス戦略」としている。CRMのハイプサイクルでは、日本企業が、ビジネスの差別化につながる顧客中心的なCXを提供する上で特に重要と考えられるCRMを含む、顧客関連のアプリケーション/テクノロジーをはじめ、30項目のキーワード(テクノロジー、サービス、方法論、プラクティス、コンセプトなど)を取り上げた(図1)。

図1:日本におけるCRMのハイプ・サイクル:2018年(出典:ガートナージャパン)図1:日本におけるCRMのハイプ・サイクル:2018年(出典:ガートナージャパン)
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 2018年版のCRMのハイプサイクルには、顧客に価値を提供するエンティティー/チャネルの拡大を受けた新たなテクノロジーが登場している。これらの新たなテクノロジーを含めて、CXの向上に貢献すると考えられる様々なテクノロジーがハイプサイクルの黎明期の坂を上昇中だ。

 例えば、「顧客データ・プラットフォーム」は、顧客化される前のWebサイト訪問者やモバイル利用者の永続的な追跡によって顧客化を支援する。「CRM用消費者向けメッセージング・アプリ」は、広く普及したメッセージング・アプリケーションを介して、顧客エンゲージメントを促進する。

 「ワークフォース・エンゲージメント管理」は、顧客応対に従事する従業員をサポートする。「モバイル・フィールド・サービス管理」は、遠隔地の技術担当者を支援することで、業務の迅速な遂行のみならずCXの向上を図るものと期待されている。

 ハイプサイクルの頂点付近には、ガートナーが以前から提唱してきたペースレイヤ・アプリケーション戦略が位置する。ペースレイヤ/ペースレイヤリング(Pace Layer/Pace Layering)とは、建築業界発祥でIT業界でも用いられるようになった概念で、SoR(Systems of Record)やSoE(Systems of Engagement)といったアプリケーションのレイヤごとで変化をとらえた最適な戦略をとるといった意味を持つ。

 ガートナーは、「CXの追求には、CRM関連テクノロジー/アプリケーションの成熟度合いや発展の方向性を理解しておくことが重要で、企業はさまざまなチャネルにわたる顧客行動をリアルタイムに把握し、個々の顧客に適したコンテンツを適したタイミングで適したチャネルから提供することが重要」との旨を伝えている。

 なお、ガートナーのハイプサイクルは、横軸に「時間の経過」、縦軸に「市場からの期待度」を置く2次元の波形曲線で表す。新規テクノロジーが市場に受け入れられるまでは、総じて同じ経過をたどる。まず、初めて市場に登場した後に期待は急上昇するが(黎明期)、成果をともなわないまま過熱気味にもてはやされ(「過度な期待」のピーク期)、熱狂が冷めると市場がいったん停滞し(幻滅期)、改めて実質的な市場浸透が始まって(啓蒙活動期)、成熟したテクノロジーとして市場に認知されるに至る(生産性の安定期)。

 ハイプサイクルは、これら5つの段階で市場の成熟化の過程を示し、各キーワードはそれぞれの成熟度に従い、ハイプサイクル上にマッピングされている。マッピング・ドットの形状や色は、最後の成熟段階である「生産性の安定期」に至るまでに要する期間を表している。

 自社で次世代系のテクノロジーの採用を検討する指標となる先進テクノロジー・ハイプサイクルの2018年版レポートはこちらの記事を参照されたい(関連記事:ガートナー、先進テクノロジーのハイプサイクル2018年版を発表、AIの民主化が進む

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