ガートナー ジャパンは2019年2月7日、「日本におけるポストモダンERPのハイプ・サイクル」の最新版を発表した。過度な期待のピーク期には、ペースレイヤリング戦略やパブリッククラウドERP(管理系)がある。これから期待が高まっていく黎明期には、IoT対応やAI(人工知能)の活用などがある。
ガートナー ジャパンは、ポストモダンERPを、「コアとなるERP(統合基幹業務システム)を中心に据えつつ、周囲にクラウドERPなどを組み合わせたERPのスタイル」と定義する。同社は、1990年代以降に進んだERPのモダナイゼーション(スイート製品による業務機能の統合と集約化)の次の動きとして、クラウドを含む複数のアプリケーション群を疎結合で連携するポストモダンERPが進むとしている。
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ガートナー ジャパンは今回、日本におけるポストモダンERPのハイプサイクルの最新版(2018年版)を発表した(図1)。ハイプサイクルは、新しいテクノロジーやサービスなどが登場してから市場に受け入れられるまでの経過を表したグラフである。あるテクノロジーが、黎明期、過度な期待のピーク期、啓蒙活動期、などのどのステージにあるのかが分かる。
過度な期待のピーク期には、管理系(会計、人事)のERP機能をパブリッククラウドで実現することや、ペースレイヤリング戦略がある。同社によると、ペースレイヤリング戦略とは、業務システムをその更新の頻度に応じて、記録システム、差別化システム、革新システムの3つに分類する考え方のこと。「記録システムへの投資を抑えることで、差別化システムや革新システムに投資できるようにする」(同社)。
期待が急上昇している黎明期に、実行系(販売、生産)のERP機能をパブリッククラウドで実現することや、IoTに対応したERP、ERPへのAI(人工知能)の活用、ERPにおけるアジャイル手法の適用などを挙げている。「登場したばかりで最も新しいテクノロジーがインフォノミクスである。インフォメーションエコノミクスを短くした言葉であり、企業が管理している情報を収益に結び付けることを指している」(同社)。