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山口フィナンシャルグループ傘下の3銀行、顧客情報などを一元収集する統合DBをAzure上に構築

2019年12月13日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

山口フィナンシャルグループ(山口FG)傘下の3銀行(山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行)は、顧客情報などを一元的に収集・活用する「統合データベース」をMicrosoft Azure上に構築した。システムを構築したブレインパッドと日本マイクロソフトが2019年12月13日に発表した。ベンダー2社によると、複数の銀行のデータを統合し、パブリッククラウドのPaaSを活用してデータ活用基盤を構築した事例は、地方銀行では国内初である。

 山口フィナンシャルグループ(山口FG)は、データの活用によって企業を活性化させる取り組みを進めている。この取り組みの要となるのが、地域の各種の情報を統合する「統合データベース」である。傘下の銀行の勘定系システムや各システムに分散している顧客情報、Webサイトの行動履歴など、各種のデータを一元的に収集して活用するものである。これにより、従来の金融サービスにはなかった新たな価値の提供を目指す。2019年7月に完成し、稼働を開始している(図1)。

図1:山口フィナンシャルグループが導入した統合データベースのシステム構成図(出典:ブレインパッド、日本マイクロソフト)図1:山口フィナンシャルグループが導入した統合データベースのシステム構成図(出典:ブレインパッド、日本マイクロソフト)
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 山口FG傘下の山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行は従来、勘定系、情報系システムの共通化が進んでいる一方で、システムが取り扱うデータの管理・活用は共通化していなかった。統合データベースの構築によって、これを改善し、データを活用できるようにした(図1)。

 統合データベースの効果は大きい。従来、データ分析の準備に1~2週間の期間がかかっていたものを、即時に社員自身が分析できるようになった。社員自らSQLを実行して自由に分析できるほか、データ分析ツール「Power BI」によって定型レポートを参照する使い方もできる。

 また、勘定系システムにある金融資産のデータを分析することで、地域企業が抱える課題を可視化し、この課題を解消できる企業と結ぶ橋渡しとしてのビジネスマッチングも行っている。

6カ月強でAzureを導入、今後は金融商品のレコメンド施策も実施

 統合データベースを構築するプロジェクトは、2018年11月に開始し、6カ月強の導入期間を経て、2019年7月に完成した。ITリソースには、パブリッククラウドサービスのMicrosoft Azureを選択した。Azureの導入は、ブレインパッドが支援した。

 統合データベースのシステム基盤の要件は、大きく3つあった。すばやく基盤を完成させるための「迅速性」、基盤の変更やデータの追加が容易に行える「柔軟性・拡張性」、重要データの取り扱いに耐えうる「信頼性・セキュリティ」である。これらの要件を満たすITリソースとしてMicrosoft Azureを選択した。

 今後は、レコメンドエンジンを搭載したマーケティング用のプライベートDMP(データ管理基盤)製品「Rtoaster(アールトースター)」を活用し、ユーザーのニーズに合致した金融商品のレコメンド施策などを実施していく予定である。

 なお、2019年1月には、山口FG自社においてOffice 365を導入し、社員の生産性を高める働き方改革の取り組みも開始している。

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